■【山の神】源頼朝も参拝に訪れた伊勢原の名低山「大山と大山阿夫利神社」

大山阿夫利神社は四季を通じてとても賑わう。境内からは鎌倉・三浦半島・江ノ島もばっちり

 「神奈川県の屋根」とも呼ばれる丹沢山地において、その東端で存在感を示しているのが大山だ。相模湾の船乗りが方角の目印にしたという三角形の山で、遠目に見てもそれとわかる美しい山容をしている。

 その中腹に鎮座するのが、大山阿夫利神社。ここまでならケーブルカーでアクセスすることができるため、年間を通して登山者のみならず数多くの参拝客が訪れる。その数、なんと年間90万人というのだから驚きだ。気軽に山の自然に触れることができるため、“登山未満”の観光客が多いことも大きな特徴といえる。江の島と並んで、神奈川県屈指の名所なのだ。

伊勢原大山納め太刀は、かつて頼朝が奉納した刀に由来がある

 そんな大山阿夫利神社の参拝者のひとりに、源頼朝もいた。武運長久と勝利を祈願して太刀を納めたという。

 徳川の世になると、江戸っ子たちはこぞってこの頼朝のエピソードを真似して、真剣に代えて木太刀を納める「納太刀」を持って参拝した。いまでは、小さな刀の形をした木札を納めるイベントなどが行われている。

重厚な丹沢山地の向こうにそびえ立つ霊峰富士

 神社脇の登拝口から目指す大山の頂は絶景で、その中心に大山阿夫利神社の奥社が鎮座する。冬の間は登山道の凍結や積雪に対応できる装備と衣類が必須となるものの、奥社の裏手から眺める丹沢山地と富士山の見事な冬景色は、わざわざそこまで登る価値がある。 

 とにかく四方に眺めのよい山だから、鎌倉や三浦半島、そして相模湾に浮かぶ江ノ島もばっちり見える。評判だった大河ドラマを思い出しながら歩いてみると、なおのこと感慨深いものがありそうだ。訪れる際には、大山ケーブルカーの年末年始の運行情報を確かめておこう。

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