■引くてあまたのドローン操縦士
山や森の中、湖や滝など、景色を俯瞰で撮影できたら、アウトドアで遊ぶ楽しみも倍増する。だが、ドローン操縦士の需要がはさまざまな分野で需要が拡大している今、趣味だけにとどまらせておくのはもったいないかもしれない。
調査会社・株式会社インプレスの調べによると、2021年度の日本国内のドローンビジネスの市場規模は2308億円と推測され、2020年度の1841億円から467億円増加している。
ドローンビジネスの市場のなかでもサービス分野の伸びが大きく、生産設備や大規模建造物などの点検、農薬散布、山林調査に活用されている。
たとえば、2022年度は478億円と推計されている農業分野は2027年度には1258億円と見込まれている(インプレス総合研究所/新産業調査レポート『ドローンビジネス調査報告書2021』より)。
また、不動産会社から「〇〇マンションの〇階の窓からスカイツリーが見えるか確認してほしい」といった少し軽めの仕事もあるという。15分くらいで終わる内容ではあるが、3万円程度の報酬が得られるというのだから、ドローン操縦技術を身につけておいて損はないだろう。
■ドローンスクールの無料体験に参加してみた
実際、ドローン操縦の難易度はどんなものなのだろうか。筆者は某ドローンスクールの無料体験を受けてみた。結論は操縦は非常に難しい。「小さいドローンを買って、その辺で練習すればなんとかなりそう」と思っていたが、そう甘くはなかった。
まず、コントローラーの使い方。右手で前後左右、左手で上下と左右の旋回を調整するのだが、コントローラーを持つ手がぎこちない。力が入りすぎてドローンの速度が必要以上に速くなってしまう。
止めるときは少しだけ逆方向にレバーを倒して指を離すのだが、倒しすぎて止まらずにそのまま逆方向に進んでしまうありさまだ。
上下左右に動かした後は、ホバリングの練習。「ただ空中で静止しているだけでしょ」と軽く考えていたが、前後左右に揺れ、機体はじっとしていてくれないのだ。
これは、筆者の操縦技術が未熟なのはもちろんだが、練習用のドローンにはGPSが搭載されていないのも要因の一つ。GPSが搭載されていれば、衛星から電波を受信して、自機の位置を正確に把握できるため、ホバリングもかなり容易になるのだという。
離陸と着陸の練習では、目指す着地点からずれまくる。勢いよく上昇させてしまい、天井にぶつかりそうになり焦る。あたふたしていると、すかさずトレーナーがコントローラーの主導権を切り替えてくれた。
1、2、3、4と床に貼られた数字の順番に従って四角く飛行する練習では、数字の真上で方向を変えるのが難しい。一番難しかったのは、前後の向きが逆になったときの操縦。機体自体をバックさせようとして、前進させてしまっていた。
30分程度の体験だったが、ドローン操縦の難しさを思い知った。操縦できるようになりたいが、自由自在に飛ばせるようになる自信がまったくない。飛行ルールにのっとった形で、自由に飛ばせる場所があれば、徹底的に練習してみたいものだ。
■より身近になるドローン活用の未来に期待
操縦体験でドローン操縦の難しさを思い知ったが、操縦技術を身に着ければ趣味の世界が広がるばかりか、その気になれば報酬を得ることもできる。市場規模が拡大し、いずれドローンによる宅配なども実現するかもしれない。われわれの日常生活にどんな恩恵をもたらしてくれるのか、ドローンの今後の発展が楽しみだ。