カメラ機能を備えたドローンがあれば、見たことのない景色を撮影できる。上空からの俯瞰撮影や、鳥になった気分で木々の間をなめらかに移動する動画などは、ドローンでなければ撮れない1シーンだ。
実際に「ドローンを操縦できたらどんなに素敵だろう!」と思う方も多いだろう。しかし、操縦するには資格が必須なのか、簡単に操縦できるのか…… とさまざまな疑問が湧いてくる。
そこで、ドローン操縦士の「今」をリサーチするとともに、操縦の難易度を体感すべく操縦体験をしてみた。
■ドローン操縦に資格は不要! しかし、さまざなルールが
まず、操縦に関しての資格は、結論からいうと必要ない。しかし、飛行場所にもよるが、ドローンを飛ばす際には申請が必要となり、資格を取得していれば有利になる場面もある。
申請が必要となる飛行場所としては、以下の4つが指定されている。
1. 空港等の周辺空域
2. 人や住宅の密集している地域上空
3. 地面または水面から高さ150m以上の空域
4. 緊急用務空域(原則飛行禁止) ※山火事の現場上空など
つまり「空港等の近辺でなく、人がいない広い空間で、高さ150m以下の場所」であれば、許可なく飛ばせるということになる。ただ、飛行場所が該当していなくとも、飛行方法で規制対象となることがある。それが以下の6つの飛行方法だ。
・夜間飛行
・目視外飛行
・人、車、建物から30m未満の飛行
・イベント上空飛行
・危険物輸送
・物件投下
現在、手に入る汎用ドローンは、送信機にタブレットやスマートフォンを接続して使用することが多い。そして、ドローンに搭載されたカメラの映像は、ドローンに接続されている手元のデバイスで確認する。
このとき、ドローンから目が離れている状態「目視外飛行」にあたる。ついやってしまいがちな行為だが、規制対象となっていることを心得ておいたほうがいいだろう。
これまで200g以上の「無人航空機」(ドローン、ラジコンなど)について申請が必要とされていたが、2022年6月20日より「100g以上」に変更された。同時に「登録制度」が施行されたため、無人航空機の登録が義務となっている。
ドローンを飛ばすためには、機体登録をした上で、飛行区域によっては許可申請をする必要があるというわけだ。
■許可申請方法とは
前述した「1.空港等の周辺空域」、「3.地面または水面から高さ150m以上の空域」の場合は、東京空港事務所長又は関西空港事務所長、それ以外の場合は東京航空局長又は大阪航空局長とされている。
また、都道府県や市区町村などの地方公共団体が定めている条例や「小型無人機等の飛行禁止法」などにより飛行が禁止されている場所・地域があるため、ドローンを飛ばしたい地域で無人航空機の飛行をしてもよいのか事前に確認する必要がある。
「資格を持っていれば申請時に有利になる」と述べたが、申請時に証明が必要となる条件があるためだ。以下に例をあげよう。
・10時間以上の飛行経歴の有無
・安全に遠隔操作ができる技量の有無(GPS等の機能を利用せずに安定した離陸・着陸・飛行ができること)
資格取得者(※)であれば、これらの条件は満たしているとみなされ、申請書の一部(「飛行経歴・知識・能力確認書」など)の申請を省略することができる。
※国土交通省に認められたドローンスクールが行う技術試験などに合格した場合
ところで、この「資格」だが、これまでは民間資格のみだったが、2022年12月5日からは国家資格制度が導入された。資格がなくても飛ばせることに変わりはないが、国家資格制度が導入されたのは、それだけドローン産業が発展してきているという証でもある。