■オーナーの齊藤さんって、どんな人?
こちらにサウナを作ったのは、株式会社オニヴァ 代表取締役の齊藤郁子さん。以前はIT系企業に勤務するバリバリのキャリアウーマンで、アドベンチャーレースに毎年出場するほどアウトドアスポーツが大好きだったと言います。ある日、レースで訪れた徳島で地元の猟師さんに「人と競い合っていないでそのパワーを自然に向けたらどうか?」と言われハッとしたそう。
■持続可能なライフスタイルを求めて
齊藤さんは、東日本大震災の被害を見て、“テクノロジーは進化しているが、果たして人間の暮らしの質は良くなっているのか?” という疑問を持ち始め、「小さくても持続可能なライフスタイルを作りたい」と考えるように。そこで、山の水、森と共に暮らしがある神山町に魅力を感じ、2012年に移住し、山林と軽トラック、斧、チェーンソーを購入し、弱った木の間伐からスタート。当初は、元造り酒屋を改装した一軒家をカフェと宿として経営していましたが、コロナにより不特定多数のお客さんの受け入れが困難になり、現在は1日1組限定の宿に変更。
●どうしてサウナを作ったのか?
弱って酸性に傾いた土を元気な状態に戻すには「灰」が必要で、そのためにサウナを作ったとのことです。アルカリ性の灰を撒くことで土を中和させることができます。サウナストーブの燃料に、間伐した木を使えば一石二鳥という訳ですね。茶色一色だった森は、太陽の光と風、灰によって草が生え、鳥が来るようになったそう。良い循環が生まれ森が少しずつ豊かになっていく。まさに花咲か爺さんの物語のような不思議なお話です。
また、間伐した大量の木は、サウナのほか、齊藤さんのご自宅や宿で暖炉や湯沸かしの燃料にしているほか、お水は井戸水を活用しています。
■石油や肥料に頼らない暮らし
齊藤さんが管理している農園では、トラクターなどの機械に頼らず馬や牛のパワーを活用しています。馬や牛は雑草を食べてくれ、糞は肥料になることで土が豊かに。昔からある知恵をうまく使うことで、ガソリンと肥料に頼らない土づくりを目指しています。
日本は山に囲まれ非常に自然が豊かな国です。すぐそばにある自然を活かし共に暮らせば、万が一災害などが起こってもサステナブルな暮らしが実現できると齊藤さんは話します。「B&B On y va & Experience」には、森づくりに興味のあるお客さんがよく訪れているそう。昨今のサウナブームやアウトドアブームが、よい森を次世代に繋ぐきっかけになればと話していました。