今回は近年のキャンプ場の混雑具合にうんざりしている人向けに、「こんなキャンプ場があったら」と思える7つの視点について考えてみた。まず、環境教育を専門とする私が、なぜこのようなテーマで記事を書くことになったかを話そう。
■プライベートで貸切れる小規模キャンプ場に関わった経緯
私は長年、大学の実習でキャンプやスキーを教えている。最近は子連れの友人たちとキャンプに行く機会も多くなってきたのだが、混雑したキャンプ場にはどうしても馴染めず、気が進まなかった。そんな折に、菅平高原にあるロッジ「アボリア」のオーナーから、ロッジ前の林の活用法についてアドバイスを求められたことがきっかけとなり、貸切り可能な小規模のキャンプ場について深く考えるようになった。
その林はとても静かで、日当たりが良い山の斜面にある。巨木のミズナラやシラカバが生えていたので、いくつか残しつつ整地すれば、木陰に大型テントが3つ4つは張れそうな雰囲気だった。そこでつい「混雑するキャンプにはうんざりだったから、ここにプライベートなキャンプ場ができたら最高だよなぁ」と無責任に口が滑ってしまったのだが、イメージを話すとオーナーは結構乗り気。それからしばらくして、貸切小規模キャンプ場「空庭」プロジェクトが、本当にスタートしてしまったのだった。
■構想半年。理想のキャンプ場像が見えてきた
軽々しく口にしてしまったとはいえ、私だって結構本気で考えてもいた。というのも、昨年友人と出かけたキャンプで、隣のサイトにいた若者2人が殺虫スプレーをひたすら撒き続けるという事態に遭遇し、もう2度と混雑するキャンプ場には行かぬと誓っていたからだ(ちなみに、私は虫の保全活動も仕事の1つとしている)。
キャンプ場作りは専門外なので無償で関わることにしたのだが、やるからには責任もある。ここはもう少し知見の深い人が必要だろうと思い、知り合いのK氏に打診してみた。
このK氏、某有名アウトドアブランドで店員経験があり、人脈も広いので、道具やキャンプ場経営に詳しい。そして日頃からファミリーキャンプはもとより、地域の知り合いや友人ファミリーを誘ってはよくキャンプに出かけている。彼は「誘った人が心から満足してくれるキャンプ場には条件がある」とよく言っていた。この案件にうってつけの人物ではないか。
事情を話すと2つ返事でボランティアを買って出てくれた! こうして半年に渡ってアボリアのオーナーとK氏と私で現地を踏査し、打ち合わせを重ねた結果、私にも理想の貸切小規模キャンプ場の姿が見えてきたのだった。
私たちの考えた「良い貸切小規模キャンプ場が持つ7つの条件」を以下にまとめてみよう。