●おつまみにもなる涼拌麺の具材

 初代オーナーのお孫さんで現4代目のオーナーのお姉様、四倉(よつくら)さんにお話を伺うことができました。別皿でまず先に具材を提供する理由は、お酒を飲んでいる方にはおつまみにして欲しいからとのことです。一つのメニューでも出来るだけ楽しんでいって欲しいという気持ちを感じますね。単体で食べてもとても美味しい具材は、中華料理の前菜メニューと同じものを提供しているそう。なるほど中華料理風のハーブの香りがほんのり漂うチャーシューと、塩味とうま味を感じる鶏肉の正体は、「広東チャーシュー」と「蒸し鶏の冷菜」でした。

現オーナーのお姉さまの四倉さん

●「涼拌麺」誕生秘話

 冷やし中華の元祖「涼拌麺」が誕生したのは、今から約85年も前のこと。夏は熱いスープを使うラーメンの売上が落ちるため、中華料理店で組合を作りみんなで対策を練ってメニューを考えたそう。昔から日本にある、茹でた麺を冷たいお水で締めるざるそばからヒントを得て開発。常連さんに試作品を食べてもらいながら完成した一品はその名も「夏の風物詩 涼拌麺(りゃんばんめん)」。

 食欲増進や夏バテにとお酢を使用し、発売当初はキャベツやにんじん、トマトにおしんこなどサラダ風の具材にチャーシューを添えていました。そこから戦後を経て具材が贅沢に、細切りに進化していき今の形になりました。なお、タレの醤油は発売当初からあり、胡麻は約40年前に登場したそうです。

●冷やし中華を通年提供する理由

 冷やし中華と言えば、全国的に夏限定で食べられるメニューというイメージがあります。通年提供している理由を聞いてみると、なんと意外にも雪の日などの寒い日に特に注文が入るそう。暖房の効いた暖かい店内で「涼拌麺」を食べる方が多いとのことです。“冬のこたつでアイス”的なあれですね。なお、季節に合わせて味を変えているか聞いたところ、使用しているレモンやオレンジなど酸味を若干調整するそうです。

●中国料理「龍亭」

住所:〒980-0012 仙台市青葉区錦町1-2-10
電話:022-221-6377
営業時間:ランチ: 11:30~14:30(LO 14:00)、ディナー:17:30~20:30(LO 20:00)
※ディナーは土日祝のみ営業
定休日:水曜日
涼拌麺:1430円(税込)