■コーヒーはアメリカン!

 山では水分補給が重要な行為である。自分が思っている以上に体の水分は失われており、気づいた時には脱水になっていることもある。手を変え品を変え、水分を摂取しなければならない。そして山によっては、水を手に入れることさえ困難なことがある。稜線上には沢や水場が近くにないし、冬山では燃料を消費して雪や氷を溶かさなければならない。水分は、飲める時にたっぷり飲むのである。

 困るのは珈琲を淹れる時。ドリップ珈琲に注ぐお湯は、美味しく飲むための適量というものがある。しかしクライマーはついつい、カップに入るだけ思いっきりお湯を注ぐのだ。山で淹れる珈琲は超アメリカンとなり、珈琲好きな同行者からは度々反感を買うのである。

■山ポイントの獲得!

家事は当然分担して行うべき!

 この年になると、周りには家庭を持つクライマーも多くなった。そんな彼らが家庭で意識すること。それは「山ポイント」を稼ぐことだ。山ポイントとは、掃除、洗濯、皿洗い、子どもの世話、奥さんへの労い、金を稼いでくるなど、家庭に貢献することで貯まる見えないポイントのことを指す。

子どもと遊んでいるようで、クライマーの英才教育を始めていたりして

 休日を使って登山をすることは、家庭を顧みず遊んでいることに他ならない。たとえ仕事であっても、山に行くのは遊び場に行くことになるのだ。そんな時、クライマーは日ごろせっせと貯めた山ポイントを消費して山に出かける。何日間、どこの山に、何の目的で行くかによって、消費ポイントは異なる。海外登山なんて行こうものなら、大きな出費となるのだ。

 しかし「登山」という行為には、お金も時間もかかる。そして、常に危険が付きまとう。家族のいるクライマーは、無事に帰ることは勿論、家族を幸せにする責任がある。我々が山に行けるのは、家族の理解があってこそなのだ。我々は家族に心配をかけながら、危険な行為を時間とお金をかけてしていることを忘れてはいけない。家族に感謝して、山ポイントくらい一生懸命貯めようではないか!

 我々が家庭に貢献することは、当たり前なのだ。決して「やってあげてる感」を出してはいけない。「こっちはいつもやってるのよ!!」と反感を買い、ポイントが下がってしまうことも……。