茶臼山は広々とした山頂を特徴とし、荒々しい岩とザレた赤い砂地に覆われている。眼下には原生林が広がっており、その向こうに日本アルプスを中心とした名峰が立ち並ぶ。写真が趣味の人ならば、なかなか先に行かせてもらえないほどの“映える”場所だらけ。かくいうぼく自身も、先に進めない人のひとりである。
お弁当を広げたくなるような開放的な場所だから、ここでたっぷり時間をとって過ごしたい。先を急ぐなら、ここから北へ小一時間ほど歩いたところにある縞枯山の展望台も、次なる休憩候補地に挙げたい開放感。茶臼山と縞枯山を結ぶ縦走路には、眺めを楽しみながら休憩する場所には事欠かないというわけだ。
山と高原地図「八ヶ岳」によれば、麦草峠をスタートして茶臼山を経て縞枯山までの区間、登りは1時間45分というコースタイムだ。ここから麦草峠の駐車場へ引き返す場合、下りは1時間15分。つまり合計3時間の山歩きとなる。秋の絶景を楽しむだけなら、この区間の往復だけで十分ではある。
■さらなる寄り道は、神秘の雨池へ
体力と時間にゆとりがあるのなら、その先の雨池まで足を延ばしてみよう。静謐で神秘的な雰囲気が漂う広い水辺は、周辺よりも風が通って冷えやすいからだろうか、樹々の色付きが早い。真っ青な空が反射する水面とともに、畔を囲む紅葉の樹木があますことなく映し出されていて、とても美しい。
雨池は、その名にあるように、雨の影響を受けやすいと聞いた。大雨の後などは水位があがることがあるようで、登山道の状況によっては通過せずに引き返したほうがよいだろう。よく地図を見れば、林道を使って雨池の畔を回避することもできる。歩きやすい道ではあるが、ここも紙の地図と位置情報を示してくれる地図アプリは必須。しっかり備えて、紅葉のレイク&ハイクを楽しみたい。
<低山トラベラー厳選。北八ヶ岳の池巡りルート周辺の立ち寄るべきスポット>
・【軽食】「白駒荘」の軽食とデザートはかなりの充実。個人的には濃厚ソフトクリームはハズせない
・【宿泊】麦草峠と白駒池の周辺は山小屋が多い。「青苔荘」のテント場がずっと気になっている
・【山小屋】青い三角屋根が印象的な「縞枯山荘」は要予約
・【ビール】双子池まで歩けば、「双子池ヒュッテ」でクラフトビールが飲めるかも
・【定食】八ヶ岳東麓ならレストラン「ストローハット」が鉄板(本連載3度目の登場!)