■八ヶ岳と富士山の絶景が待つ低山「大畠山~蛾ヶ岳」

蛾ヶ岳(標高1,279m)からの眺め。富士山の手前にはダイヤモンド富士で知られる竜ヶ岳も

 湖畔散策だけでは物足りないという人は、ぜひ蛾ヶ岳(ひるがたけ)への登山も楽しもう。標高850mの四尾連湖からスタートする3時間ほどの道のりは、キャンプ受付となっている水明荘の裏から山道に入り、四尾連峠、大畠山を経て、蛾ヶ岳まで歩くポピュラーなルート。登山道がよく整備されているため、とても歩きやすい。

大畠山は八ヶ岳と南アルプスが間近に眺められる絶好の展望地

 四尾連峠から30分ほどで到着する大畠山山頂は、最初の絶景スポットである。八ヶ岳方面の展望がとにかく素晴らしく、眼下には釜無川のゆるやかな蛇行を眺めることができる。ダイナミックな地形の変化に心が躍る瞬間だ。広場のように整備が行き届いているので、お昼休憩にもぴったり。抜ける展望を眺められる特等席で、しばしのランチタイムを楽しもう。

蛾ヶ岳の山頂は富士山方面の眺めが抜群にいい

 大畠山から蛾ヶ岳までの道のりは両サイドが切り立った尾根で、樹林からこぼれる陽光を浴びつつ風を受ける、とても気持ちのよいハイキングコースとなっている。

 到着した蛾ヶ岳のピークから眺める富士山は、ぼくのお気に入りの眺めのひとつ。正月のダイヤモンド富士で有名な本栖湖畔の竜ヶ岳や、三方分山(さんぽうぶんざん)といった御坂山地西端の山越しに、富士山がそびえ立っている。この山でしか味わうことのできない展望だろう。

 ところで、ひるがたけという山名に、なぜ「蛾」をあてたのかは謎である。そもそも、この山は「昼ヶ岳」と書く時代があった。甲斐武田家の居城・躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)から見て、この山の真上に太陽が昇った時間が正午だったことが由来だそう。そこまではいいとして、なぜ「蛾」なのだろうか。はっきりとした理由は、じつはわかっていない。

 四尾連湖の湖畔散策と蛾ヶ岳までの低山ハイクを合計すると、コースタイムはざっと4時間ほどだろうか。夏が終わり、水遊びの季節は過ぎてしまったものの、これからは爽やかな気候での秋山ハイクが待っている。いまから四尾連湖の紅葉にも期待したい。

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