新潟県の越後妻有エリアで行われている大地の芸術祭。300以上の作品が展示されています。自然を大きく活用した野外彫刻作品や、廃校や空家、トンネルを丸ごと活用した作品など、地域を切り拓いて生まれた作品が見られるのです。

 後編では人気の高い「清津峡渓谷トンネル」や、一気に40作品も鑑賞できる「越後妻有里山現代美術館MonET(モネ)」を訪れました。

■人気フォトスポット「清津峡渓谷トンネル」「失われた窓」

色味によって雰囲気が変わるトンネルも非日常を演出している

 大地の芸術祭の2日目は、一番の楽しみである「清津峡渓谷トンネル」からスタートです。宿泊した舞子高原ホテルからは車で約25分。事前予約が必要な時期だったので、泊まりを活かして朝一番の時間帯である8時30分を選びました。

 トンネルの最奥が最も有名なスポットで、写真を撮るために自然と列ができます。トンネルと水面が鏡のように上下に反射し、幻想的な雰囲気です。友達の家族にモデルをお願いし、思い出の1枚が残りました。

 トンネル内の色の変化や、鏡・机の反射など写真を撮るアイデアが浮かびます。非日常の景色に、ついつい何枚もシャッターを切ってしまいます。

いろんな角度から自分の画角を探す「失われた窓」

 次は「清津峡渓谷トンネル」から車で約15分の場所にある「失われた窓」へ。公園に窓が設置されていました。シャッターチャンスはカーテンが風で揺れたときだろう、といろんな角度からタイミングを伺います。

 窓の向こうには緑の山の重なりが見えました。「あちら側の景色はどうなっているのかな」とつい覗いてしまう、そんな思いがくすぐられます。

■一気に40作品! 越後妻有里山現代美術館MonET(モネ)

2階のある地点から眺めることで作品だと気づく「Palimpsest:空の池」

 次は車で25分走り、越後妻有里山現代美術館MonET(モネ)へ移動します。2021年に常設作品の入れ替えを行い、リニューアルオープンされました。多彩なアート作品が美術館の中だけでなく、外でも見ることができます。

旧ソ連の圧政下で暮らす人々の日常会話とゴミが吊るされる「16本のロープ」

 数多くの作品を見て感じたのは「解釈は自分次第」であること。まったくわからないというものもあれば、考えるきっかけになるものもありました。

 「16本のロープ」では旧ソ連の圧政下で暮らす人々の日常会話のメモが約100個のゴミと共に収められています。メモを読んでいくと、あきらめやどうにもならない、というような自由度が低い世界で暮らす苦悩を感じました。今の自分たちの生活では気づかない、息苦しさが伝わってきます。旦那さんは「ゴミもアートになるんだな」という感想で、同じ作品を見ても人それぞれ感じるものは違うようです。