自然観察を通じて環境の変化に敏感になる

岩の隙間をそっと覗く。暗さに目が慣れると僅かな光を感じることができる。長野県・八ヶ岳にて

 岩の隙間から目ぼしい穴を覗いてみると、最初は周りの明るさとの差で判別しづらいが、やがて目が慣れてくるとその輝きを感じるようになる。ほの暗い中にエメラルドグリーンが鮮やかに浮き立ってくる。淡く朧げに輝く様子は神秘的で見とれてしまう。

 だが、美しく魅力的なヒカリゴケも観光や治山のための開発で生息に適した場所が減り、絶滅を危惧されている。安易に山肌をコンクリートで固めるような工事…… 沢筋に流れ出すセメントや油……。長い目で本当に必要か熟考して工事してほしいと切に願う。自然観察を通じて環境の変化に敏感になることも森・山歩きの大切な役割かもしれない。ウェブサイトで書くと本末転倒な気もするが、ネット情報ではなく実際にフィールドで体験したことは、積み重なり“リアル”な環境の認識へと繋がるはずだ。

足元の小さな自然にも魅力を感じられるようでありたい

 注意深く、五感を研ぎ澄ませて自然を感じる。常に移ろう自然の表情は興味深い。サイトの性格上、詳しい場所を紹介することは避けるが、ヒカリゴケに限らず、なにか新しい発見がきっとあるはずだ。

※ ヒカリゴケは風通しや光の当たり方など、非常にデリケートな生物。周囲の環境を変えてしまわないように気を配ることを忘れずに。そっと観察しよう。お分かりだろうが、持ち帰っても育つことはない。