長野県南部、天竜川を東西に挟む風光明媚な村、中川村。その北側に位置する「陣馬形山」は、目立たない里山ながら、広い山頂部はまさに絶景の展望台だ。眼前には中央アルプスの稜線がダイナミックな山岳景観を見せ、麓には天竜川が北から南へ蛇行する様子をつぶさに観察できる。伊那谷を空中遊覧しているような視点で楽しむことができる山だ。

 9月下旬、今まさに実りの季節を迎えた山里は、金色に輝く稲穂と収穫を終えたばかりの田んぼ、さらに畑の緑が絶妙なコントラストをなしている。山頂から見下ろすと、まるでパッチワークのようだ。もちろん意識しているわけではないだろうが、日々変わりゆくそのバランスは見ていて飽きることがない。

 陣馬形山へは麓から登山道もあるが、山頂直下まで車道が通じている。マイカーなどで登ってくれば徒歩わずか10分ほどで標高1,445mの山頂に立つことができる。手軽に絶景を楽しめるスポットとして近隣では以前から知られていたが、SNSなどで有名になり、ここ数年さらに人気急上昇中だ。

 広い山頂部は見晴らしもよく、ベンチや山座同定盤、さらに無料の観光(双眼)望遠鏡も設置されている。日を遮るものがないので、夏の日中は強い日差しがキツイが、これからの季節は心地いい時間を過ごせるだろう。

 反対側、東に目を向けると仙丈ヶ岳から北岳聖岳……。と長大に延びる南アルプスの眺めを楽しむことができる。

 山頂へは、「陣馬形山キャンプ場」内を通る。今シーズン、リニューアルしたばかりのこのキャンプ場は、過ごしやすく雲上の楽園さながら。開放感あふれる景色を目の前に、テントでのんびりと過ごすのは最高のひとときだ。さらに素晴らしい絶景と出会えるかも!