北アルプスの薬師岳は「北アルプスの貴婦人」と称され、雄大な山容が魅力だ。「日本百名山」の深田久弥は「薬師岳は、白馬や槍のような流行の山ではないが、その重量感のあるドッシリした山容は、北アルプス中随一である。ただのっそりと大きいだけではない。厳とした気品もそなえている」と記している。
富山県・折立登山口から登り、好展望・広い・水量豊富と北アルプス屈指の好テン場「薬師峠キャンプ場」で1泊し、翌朝、薬師岳山頂でご来光を拝む。高山植物の時期も素晴らしいが、今回は9月に紅葉を楽しむ山行を紹介する。
■有峰林道を通り折立登山口へ
北陸道立山ICで降り、県道富山立山公園線を走り、有料道路である「有峰林道」を通って有峰湖へ。ここから車で20分程度で「折立登山口」だ。すぐ脇に無料で利用可能な「折立キャンプ場」があり、水洗トイレ、炊事場も完備されている。ここで前泊すると、より余裕のある山行を楽しめる。
■北アルプス稜線上の太郎兵衛平まで、好展望の尾根歩き
登り始めてしばらくは樹林帯が続くが、約2時間で標高1,870mの三角点に出る。ここからはなだらかな尾根が続き、雄大な景色を見ながらの気持ちのよい尾根歩きとなる。
折立登山口から約5時間で「太郎兵衛平」に到着。ここで、立山と槍ヶ岳を結ぶ北アルプスの縦走路「北アルプスダイヤモンドコース」と交わる。2年に1度開催される日本のトレイルランニング大会の最高峰「TJAR(トランス・ジャパン・アルプス・レース)」のコースの一部にもなっている。
また、立山・槍ヶ岳間は、本場ヨーロッパアルプスの山スキールート「オートルート」になぞらえ、「日本オートルート」とも呼ばれている。5月頃にこのルートを踏破し、薬師岳の斜面を滑ることは山スキーヤーたちの憧れだ。