■すずり石水跡

合戦の前、重忠公が文を書くために墨を擦った場所と伝えられている

 駕籠塚から徒歩約5分の場所にすずり石水跡(いしみずあと)がひっそり佇んでいる。重忠公は所領、秩父から鎌倉に戻る際に謀反の疑いがかけられ、息子が幕府軍に討たれたことを知り、潔く武士として闘うことを決意した。

 このとき幕府軍が数万騎の大軍を率いているのに対し、重忠公はわずか134騎。負けることがわかっていても潔く闘うことが武士の本懐であると戦に挑んだ重忠公が、陣を構えた際に墨を擦って書状を書いた場所と伝えられているのが、このすずり石水跡である。

 現在は駐車場となっており、排水溝の上に標識が残るだけの場所であるが、街中にポツンと史跡が残っている興味深い場所である。

・すずり石水跡へのアクセス
相模本線「鶴ヶ峰駅」から徒歩約20分
駕籠塚から徒歩約5分

■六ツ塚・薬王寺

重忠公の一族郎党が埋葬されている六ツ塚

 すずり石水跡から徒歩5分の場所にあるのが、合戦で討死した重忠公と、合戦に参加した一族郎党を埋葬した地と伝えられている六ツ塚(むつづか)である。その名の通り6つの塚がある。幕府軍は後に、重忠公に謀反の意思はなかったと判断し、潔く散った武士の鑑を薬王寺に丁重に弔ったとのこと。薬王寺では、重忠公を丁重に祀り、命日の6月22日に慰霊祭を催している。

 重忠公の「武士の鑑」とも称される人柄が伺える場所である。

六ツ塚に建てられている仏像

六ツ塚・薬王寺へのアクセス
相模本線「鶴ヶ峰駅」から徒歩約25分
駕籠塚から徒歩約5分

■【MAP】六ツ塚付近