■宙を舞うフライに食いついた! まさかの……

同行の先輩が釣り上げた、見事な体躯のイワナ

 ちょっと移動し下流に目を向けると、先輩がちょうど魚をかけていた。根掛かり? と思うほどロッドがしなっている。時間をかけてやり取りした後、釣り上げたのは立派なイワナだった。サイズはもちろん、グッドコンディション(の魚体)に惚れ惚れする。

 話を聞くと、どうやら好ポイントが続いたようで、4本、うち2本はヤマメでどちらも尺越え、30cm後半の極太の魚体だったらしい。ポイントの違い? いや、腕の違いか。さすがは先輩!

 「ヤマメの方が強いね〜 俺もずいぶん下流に走らされたよ〜」との事。僕も太いヤマメを釣りたいぞ。少々悔しい……。

 残り時間もあとわずか。そこからはドライフライでテンポ良く釣り上がっていく。依然衰えないアブの猛攻に辟易していたが、「アブを狙って食べているかも」と思い、エルクエアカディス(※)をティペットに結んだ。

※代表的なフライパターン。主にトビケラの成虫を模しているが、サイズや巻き方によってはアブに見えなくもない。

 いざキャスティング! だが、投げた先、水面に浮かんでいるはずのフライがない! 慌ててキョロキョロしても見当たらない。妙な感覚に違和感を覚え、ロッドの先からフライラインを目で辿っていくと、なんとオニヤンマが空中で抱え込んでいるではないか!! 僕は唖然とし、一部始終を見ていたフライフィッシング歴の長い先輩は大爆笑だった。

 「リアルをもっと食べてよ」そうぼやきながら、フライを取り返した(けっこう大変だった)。気を取り直し、オニヤンマも認めたお墨付きのフライを2度3度、底石がある流れに乗せて流すとヤマメが飛び出した! 狙い通り! しかも大物だ! 喜びながらファイト、と思った瞬間にハリが外れフライが宙に舞った……。

 そうか、今日はそんな日だ。