今年の栂池自然園で見られる高山植物は、どれも多くの花や実をつける当たり年。園内で見られる植物は夏後半のものになってきました。

 そんな中から今回はちょっと珍しい植物2種と、昆虫の中から1種を紹介したいと思います。

■紫色は珍しい!?

 「オオシラビソ」は自然園に来るロープウェイに乗っている辺りから見られる、クリスマスツリーのような樹木。この木を「栂」、自然園の湿原内にある水溜り(池塘)を「池」にたとえ、「栂池」の地名がついたと言われています。

 注目して欲しいのは「松ぼっくり」。数年に一度たくさんの松ぼっくりを付けるのですが、紫色の大きな松ぼっくりは、鳥がとまっているのかと間違われるほど、とても存在感があります。

 今年はその松ぼっくりも当たり年。たくさんついている姿は何年か先まで無さそうなので、今年を逃すのは勿体無いですよ!

オオシラビソの松ぼっくり
オオシラビソに止まるウグイス

■県内ではここだけ!?

 「クロバナロウゲ」(長野県レッドリスト  絶滅危惧IA類)は、北海道・本州(東北地方・日光・尾瀬・北アルプス)に分布するバラ科の花ですが、簡単に訪れて見ることができるのは栂池自然園だけ。しかも栂池自然園の中でも咲いている場所は園内1ヵ所のみ。栂池自然園が国内自生地の南限とされていて、生息地の環境変化によって数が少なくなってきています。

 栂池自然園の中でもたくさん見られるわけではありませんが、湿原の中でひっそりと咲く可憐な姿はとても印象に残ります。

クロバナロウゲ

シックな色合いだが湿原の中で存在感を放つ