「ガソリン価格はなぜ店によって差があるのか」。そんな疑問を持つ人も少なくないのではないだろうか。そして昨今、ガソリンの高値が続いている。できるだけ安く給油したいというのは消費者心理として当然のことだ。

 今年の夏休みは3年ぶりに行動制限がなくなり、観光事業も活性する見込み。車による家族旅行を考える人にとっては、ガソリン代を少しでも抑え、旅行費用に回してもらいたいところだ。

 今回はガソリン価格が店によって差がつく理由をまとめ、筆者が独自調査した近畿圏で安値販売が多いエリアや、安く給油できる方法を紹介する。

■なぜ、店によって価格が違うの?

仕入れ値が毎週変動し、その都度ガソリン価格が設定される(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 7月の近畿地方の平均ガソリン価格は1リットルあたり165円前後。昨年とくらべて約10円高く、一昨年比では約35円も高騰している。

 ガソリン価格は、原油価格や為替レートなどによって変動する。販売するSS(サービスステーション)が仕入れる値段は毎週変わるため、その都度、小売り価格が設定される。

 では、なぜ店によって価格が異なるのか。「安いガソリンには変な成分が混ざっているの?」などと、不安を持つ人もいるかもしれないが、決してそのようなことはないので安心してもらいたい。

 まずはSSの運営形態に違いがあり、スタッフが給油するフルサービスと、ドライバー自らが給油するセルフに分かれる。フルサービスは、常駐するスタッフがセルフよりも多いのが一般的で、販売価格にはその人件費も上乗せされるため、1リットルあたり数円程度高くなることが多い。

 そして、安く販売するSSには、得られる「利幅」を小さくしている特徴がある。他店で給油させないための戦略で、これはSSに限ったことではなく、小売業全般に言えることだ。基本的にガソリンの中身はどこで入れても同じなので、それなら安い方を選ぶのは当然の消費者心理だろう。

■価格競争を繰り広げる近畿圏のエリア

少しでもガソリン代を抑え、今年の夏は自動車で家族旅行に出掛けたい(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 ガソリン販売は元々、安値で売らずに適正な価格を設定しても利幅が薄い業界だ。しかし、自身の店に誘致するために値下げし、それが地域ぐるみで展開される「安値エリア」が近畿圏でもいくつかある。

 一方、価格競争は行わず、接客や対応力などの「価格外競争」に重きを置き、一定の販売量を維持して安定した利幅を得ようとするSSが多いエリアもある。そのため、価格だけにこだわる人は、安値エリアでの給油をおすすめする。

 近畿で目立つ安値エリアは「和歌山市、奈良県の市街地、兵庫県の姫路市や豊岡市などの一部商圏」で長年、その価格が定着しているSSも多い。

 例えば、他のエリアでレギュラーガソリンを1リットル166円で販売していた日に、これらのエリアでは154円で販売するなど、10円前後の差がつくことも日常的。仮に月3回、30リットルを給油する場合は1000円程度の差がつくことになり、これが半年、1年と積み重なれば結構な金額に膨れ上がる。

■PBやコストコも安い

 ENEOSやコスモ石油などの元売り系ではなく、あまり知られていない看板を掲げるPB(プライベートブランド)も各地でみられるが、PBも安値のSSが多い。

 価格を下げられる理由として、製油時に出る余剰分(仕入れ値が安い)などを主に仕入れていることに加え、大手系のフランチャイズではないため「看板使用料」などの経費が安く抑えることが挙げられ、その分、販売価格を下げているとみられる。

 さらに、最近では大型会員制ショッピングセンター「コストコ」がガソリン販売を行い、近隣のセルフSSよりも15円程度安く販売。コストコ専用の会員カードなどが必要になるが、この安さは魅力的だ。

 一方、近畿の「滋賀県や京都府、大阪府、神戸市」などは、エリア全体での価格競争は比較的少ない。似たような価格で収まっていることが多く、一部、安値のSSはあるものの少数派だ。

 特に滋賀県は安値SSが極めて少なく、県内全域で同じような価格水準になっている。このエリアで安く給油したい人は、数少ない安値SSをインターネットなどで調べて行くことをおすすめする。