■親切な「忍者」が観光をサポート

城内でひときわ目を引く「おもてなし忍者」。親切で頼りになる存在(写真提供:和歌山市)

 和歌山城の観光を盛り上げる「おもてなし忍者」。黒い忍者衣装をまとうその姿は、一瞬「怪しい」と感じるかもしれないが、とても親切で頼りになる存在。

 「和歌山城公園」の各所に潜み、記念撮影や行き先案内が必要な人を見掛けたら「何かお困りですか」と声を掛けてくれる。これが和歌山城忍者お得意の「おもてなしの術」。石垣前で「かくれみの術」で潜んでいる忍者もいるので、探しながら歩くのも楽しい。

「かくれみの術」などの忍術で観光客を楽しませる「おもてなし忍者」(写真提供:和歌山市)

 また、和歌山城天守閣は山頂にあり、歩行が困難な人の登城をサポートするサービスもある。当日でも申し込めるが、混雑状況などによって予約できないこともあるため、希望者は事前に申し込んでおくのが望ましい。

(詳細URL:http://wakayamajo.jp/ninja/support.html

■時代ごとに異なる石垣を楽しむ

自然の石を切り出してそのまま積む「野面積み(のづらづみ)」(写真提供:和歌山市)
石の表面をきれいに加工して積み上げる「打ち込み接(は)ぎ」や「切り込み接ぎ」(写真提供:和歌山市)

 和歌山城は城の拡張や改修などにより、石垣の材質や積み方が複数の時代にまたがる。築城時は、自然の石を切り出してそのまま積む「野面積み(のづらづみ)が主流で、「紀州の青石」と呼ばれる石材が使用されていた。

 江戸時代になると技術が発達し、石の表面をきれいに加工して積み上げる「打ち込み接(は)ぎ」や「切り込み接ぎ」が登場する。初期の石垣と比べると、その違いがひと目でわかる。城内に置いてある「石垣散策マップ」を見ながら、時代とともに変わる石垣を眺めるのも風情があっておもしろい。

 また、城内にある「西之丸庭園」(入場無料)は江戸初期に整備された国指定の名勝で、「紅葉渓(もみじだに)庭園」とも呼ばれる。その名の通り、毎年秋になると色鮮やかなもみじが池の水面に映える庭園として有名だ。夏の「青もみじ」もまた美しく、城内で存在感を放つ。

 この庭園は、すり鉢状の急斜面の地形を巧みに生かしている。茶室も備え、かつては能舞台もあり、藩主が茶室から庭園全体を見渡せる造りにしていたと考えられている。