■「えぞひぐま館」で考える野生動物との距離感

 道内では毎年、エゾヒグマによる被害のニュースが報道される。最近では、標茶町や厚岸町で「OSO18(オソジュウハチ)」と呼ばれる大型のオスグマが、2019年以降、牧場の牛を60頭以上襲い問題になっている。エゾヒグマの体重は、本州などに生息するツキノワグマのほぼ2倍の150~250kg。400kgを超える個体もいるというから、鉢合わせれば、ひとたまりもない。

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 高密度でエゾヒグマが生息する知床では、就寝中のテントにのしかかられた、置いてあったゴミや食べ物をあさっていた……といった目撃談もある。人間の食べ物の味を覚えたエゾヒグマは、再び人間の食べ物を狙うようになる。本来、臆病なクマたちが、人間に馴れたり、人間の食べ物の味を覚えることで大胆な行動に出るのだ。道内でアウトドアを楽しむ際には、周辺のヒグマ情報を収集するとともに、ゴミや食べ物の管理を徹底するといった対策も忘れずに行いたい。

「えぞひぐま館」で飼育されているメスのエゾヒグマ「とんこ」(撮影:佐藤 麦)

 人間に被害を与えるようになってしまったエゾヒグマは、残念ながら駆除の対象になる。「えぞひぐま館」で飼育されている「とんこ」も、母グマが駆除され保護されたという経緯がある。

 「しれとこヒグマ絵巻」の「人間の食べ物をヒグマに学習させないことは人間側の最低限のマナーです。」という言葉が心に残った。それは、エゾヒグマに限ったことではないだろう。

 北海道産動物のほかにも、見どころいっぱいの旭山動物園。北海道を訪れた際には、立ち寄ってみてはいかがだろうか。

●旭川市 旭山動物園

・住所 旭川市東旭川町倉沼
・電話番号 0166-36-1104

・ホームページURL https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/index.html