■NHK大河『鎌倉殿の13人』でお馴染みの鵯越

 鵯越と聞いて気になった方もいるかもしれない。NHK大河『鎌倉殿の13人』でも描写された、源義経が須磨一ノ谷の平氏を急襲したあの鵯越だ。義経も見たであろう須磨の海を望む景色に、800年前の争乱が重なって見えた気がした。

鵯越から須磨を望むと、懸命に坂を登る神戸電鉄の姿があった(撮影:へんいち(平野俊己)

■終点・有馬温泉へ

 車内で神戸電鉄と神戸市、神戸のアウトドア専門店・好日山荘がコラボした車内吊り「KOBEをアウトドアからおもしろく!!」が目に飛びこんできた。神戸電鉄はとことん登山鉄道なのだ。

沿線の自然・観光資源を活かしたアウトドア活動から新たな魅力を創造する取り組み「Kobe Rail & Trail」(撮影:へんいち(平野俊己)

 途中、山の街という駅もあり、あちこちで山を感じられるのも面白い。

山の街駅(標高316m)(撮影:へんいち(平野俊己)

 かつては「六甲登山口駅」と呼ばれていた、「神鉄六甲駅」。ここから山に上がり、そのまま海側の阪急六甲駅まで横断するコースも人気だ。

神鉄六甲駅(標高323m)(撮影:へんいち(平野俊己)
終点・有馬温泉駅(標高357m)(撮影:へんいち(平野俊己)

 豊臣秀吉が愛したことでも知られる日本三古湯の一つ・有馬温泉。義経に秀吉と、歴史を動かした人物の足跡がこの沿線には多いようだ。

有馬温泉街(撮影:へんいち(平野俊己)

 ここまで来たらもちろん温泉へ。時間がない場合は足湯だけでも。神戸市営の公衆浴場「金の湯」には無料の足湯があり、金泉を誰でも気軽に楽しめる。ただし泉源は90℃前後あるので、この足湯も結構熱い。熱さに弱い方はくれぐれもご用心。

有馬温泉・金泉の足湯(無料)(撮影:へんいち(平野俊己)

 湊川から有馬温泉まで22.5kmの旅。一歩も山に分け入らず、電車に乗ったままだったが、常にうなるモーター音と線路のきしみを聞いていると、存分に登山気分を味わうことができた。神戸電鉄は、六甲山のもう一つの楽しみ方なのかもしれない。

 

●参考文献

・全国登山鉄道‰(パーミル)会公式サイト

https://www.nankai.co.jp/koya/permil/

・「全国登山鉄道‰(パーミル)会」を結成(「全国登山鉄道‰会プレスリリース)

https://www.hakone-tozan.co.jp/dat/pdf/20130327_01.pdf

・鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準(国土交通省)

https://www.mlit.go.jp/common/001398980.pdf

・「Kobe Rail & Trail」(神戸電鉄・神戸市・好日山荘)

https://www.kojitusanso.jp/alliance/KRT/

・有馬温泉観光協会公式サイト

http://www.arima-onsen.com/facility_info100.html