例年よりも早い梅雨明け宣言、連日の猛暑続き。じりじりと照り付ける日差しに顔を上げると、青い空に白い入道雲。この組み合わせはまさに真夏の空といえる。この時期の空に似合う黄色い花がある。ラッパ状に開くユリ科のこの花の名はニッコウキスゲ(ゼンテイカ)だ。夏の高原に咲く代表的な花のひとつで、とても華やかだ。

 高原に咲き乱れるニッコウキスゲの黄色いカーペットのトレイルを歩けば、この厳しい暑さを少し忘れて幸せな気分になれるかな。いや、なるにちがいない! そんな気持ちになれるトレイルを2つ紹介したい。

■花と原生林が魅力のトレイル! 歴史ある避暑地・乗鞍高原一の瀬園地

ニッコウキスゲとアヤメの共演。高原の風に心も弾む

 標高1,480mに位置する一の瀬園地は、牧歌的な草原の景色と小川のせせらぎ、大雪渓を抱えた乗鞍岳の雄大な眺めが素敵な高原だ。到着したら駐車場からすぐにニッコウキスゲが出迎えてくれる。シラカバの木が点在する爽やかな景色のなかにアヤメやレンゲツツジも咲き誇っている。

 今回はネイチャープラザの駐車場から「小梨の小径~夜泣き峠~原生林の小径~口笛の小径」というルートで歩いてみた。

原生林のトレイル。一の瀬園地の自然は表情が豊かだ

 夏の花咲く小梨の小径は、スモモの木が植えられて乗鞍の高原風景を満喫できるトレイルだ。横を流れるきれいな小川は浅く、これからの時期、子どもの川遊びにも丁度よさそうだ。夜泣き峠のトレイルはその名に反して、シラカバとミズナラの雰囲気がとても明るく、所々にあるレンゲツツジがいいアクセントになっていて、とても爽やか。原生林の小径は、コメツガ・シラビソ・カラマツの森。一転して重厚な雰囲気だ。足元からは子どもたちが大好きなギンリュウソウがあちこちから顔をのぞかせていた。

 ゆっくり歩いて3時間位のルートだが、フカフカの落葉土のトレイルは景色に変化があり、飽きることなく楽しめた。ネジネジの木などもあり、自然の造形の不思議も感じられる。牛留池やアザミ池などの雰囲気がいい池もある。口笛の小径をいけば、再びシラカバの明るい雰囲気となる。その先にはニッコウキスゲの咲く草原が待っている。目に鮮やかな黄色い花が咲き乱れる風景は、きっと心に響くはずだ。