タモリさんをはじめ、福岡出身の有名人がメディアで発言してきたことから、“福岡のうどんは柔らかい”ということは皆さん聞いたことがあるかと思います。むしろコシなんて要らないと。私は生まれも育ちも東京なので、多くはコシのある讃岐うどんを食べてきました。福岡出身の夫との結婚を境に柔らかいうどんを食べる機会が激増し、今ではその魅力にどっぷりハマりコシのないふわふわのうどんが大好きになりました。

 うどんの発祥の地は福岡との説があるらしく、ある僧侶が1200年代に中国から製粉技術を持ち帰ったことから始まり、福岡市博多区の承天寺には「饂飩(うどん)蕎麦発祥の地」という石碑もあるのだとか。ぜひ皆さんに食べてみて欲しい、うどん屋さんを2軒ご紹介したいと思います。

■60年の歴史がある「因幡(いなば)うどん 渡辺通店」

 福岡空港からだと約30分、福岡市地下鉄の駅「薬院」駅からは徒歩3分という好立地にある「因幡うどん」の渡辺通店。文字通り渡辺通り沿いに建っている「渡辺通店」は、開店して60年という老舗。最初に言っちゃいます。この店舗の大きな魅力の一つが店長の森口さん、御年81歳です。

因幡うどん 渡辺通店の前で。うどんの提灯がいいですね

●注文後にすぐ出てくるおうどん

 森口さんについては後ほど詳しくご紹介します。まずは入店後、定番の「ごぼう天うどん」と「かしわ飯にぎり」を注文。おにぎりは数秒後に出てきます。麺は茹で置きしているそうで、うどんも30秒後には出てきます。福岡の人はせっかちだと聞きますが、これは急いでいるときにも嬉しいですね。

福岡では鶏肉のことを「かしわ」と呼びます

●早速いただきます

ごぼう天は別皿でもらうこともできます

 まずはお出汁をれんげで一口。昆布や煮干しの味がしっかりと伝わってきます。でもとっても優しくて、このまま一生お出汁だけ飲み続けていたくなる味。甘めに煮てある牛肉とゴロゴロとした玉ねぎがアクセントになっています。別皿でお願いしたごぼう天は、自分の好きなタイミングで載せ、はじめはサクサク、そのうちホロホロ解けて揚げ玉とごぼうに分かれていきます。その油分がお出汁に混ざってコクになってまた美味しい。相性抜群!

 麺については、お箸でつまみ上げた写真からその柔らかさが伝わるでしょうか。やわやわです。嚙み切るのに全く力は必要ありません。柔らかくてしなやかな麺にお出汁が絡んでとても美味しい。

ごぼう天がふやけていく過程が全部美味しい
しなやかで柔らかい麺、伝わりますか?