■神武寺駅から時計回りで逗子・葉山駅を目指す
東京湾に始まり、相模湾に終わる贅沢な“半島横断”の旅は、京浜急行電鉄逗子線・神武寺駅をスタートに設定したい。鷹取山から乳頭山を経て仙元山を目指し、ゴールは西側の逗子・葉山駅となる。標高は低いものの、約15kmにおよぶ健脚者向けのコース。歩きごたえがあり、見どころも多く、最高なのだ。
神武寺駅から1時間ほどで登ることができる鷹取山は、その道程がとにかく楽しい。住宅街から山に入ると、いきなり鬱蒼とした樹林が繁る谷筋の道となる。木漏れ日と森の匂いに癒されながら、少しずつ標高を上げていこう。奈良時代の創建と伝わる神武寺は地元の観光協会が選ぶ「逗子八景」のひとつになっており、とにかく苔が美しい古刹(こさつ)。ここから先は露岩した尾根道を30分ほど歩く。
鷹取山の展望台は360度の眺めが楽しめる、低山ながら絶景の頂。横須賀の港の情景と、低くたなびく房総半島の山並みが印象に強い。眼下の広場では石切場の跡を利用してクライミングに励む人や、お弁当を広げる人、トレイルランナー、そしてハイカーなどなど、都市近郊で手軽なアウトドアに興じる人で賑わう。とてもいい光景だ。
初心者はここから追浜駅へ下山して、合計2時間ほどのショートコースを選択することも可能。この区間は道がわかりやすく、週末の気晴らしにはうってつけとなる。時間に余裕があるのなら、横浜駅あたりで一杯やって帰るのもよさそうだ。
半島横断にチャレンジする場合は、鷹取山から南に進路をとり、乳頭山を越えた先で西に進む。目指すは観音塚の先にあるソッカ、そして仙元山。横浜や横須賀といった東側の都市の眺めから一転し、こちらの西側には眼下に街の日常風景と相模湾、伊豆半島、そして富士山が出迎えてくれる。
そうそう、ここからの帰り道はとくに気を付けたい。というのは、仙元山を下りてからゴールの逗子・葉山駅までの区間は、交通量のとても多い一般道の舗装路を40分ほど歩くことになるのだ。トンネルもある。ある意味、ここがもっとも気を使う道かもしれない。
15km強を、およそ8時間ほどかけて横断し、ようやく辿り着く逗子・葉山駅。駅周辺は飲食店が充実しているので、張りつめていた緊張感を解放してくれる最高の一杯を求めてから帰路につきたい。
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後編では、六甲山地の西端の山域を“縦走”する須磨アルプスを取り上げる。こちらも駅をスタート&ゴールにした日帰りコース。もちろん、海の絶景も待っている。
<低山トラベラー厳選。三浦アルプス周辺の立ち寄るべきスポット>
・【コンビニ】神武寺駅のすぐ近くにあるローソンがラストコンビニ
・【鷹取山】時間があるなら、ぜひ見ておきたい「摩崖仏」
・【コース計画】京急田浦駅と安針塚駅も、短縮版のスタート&ゴールに最適
・【ビール】「15brewery」のクラフトビールをテイクアウトして森戸海岸で飲む!
・【ビール】地の野菜も販売している逗子駅近くの「Blue Moon」は鉄板!
・【お風呂】汗を流すなら、東逗子駅の近く「あづま湯」が便利すぎる