■世界遺産発! 世界遺産行きの船旅

 フェリーではなく高速船で宮島と広島市を結ぶ「ひろしま世界遺産航路」が運航されているのです。片道約45分と、宮島と広島の間を最短時間で結ぶこの航路、時間的なメリットだけでない非日常的な体験となるので旅の楽しみが増しますね。

 注意しなければならない点が2つ。基本的に前日までの予約(ネットまたは電話)が必要なことと、その日の潮位によって運航できない時間帯があること(潮位が高いと橋の下をくぐれないようです)。事前の情報収集が必須となります。

 実は厳島神社参拝を断念したのも、潮位の関係で乗れる便が限られてしまったため。季節や日によっては、どちらも諦めないプランが立てられるのかもしれません。

高速船で一気に広島まで

ひろしま世界遺産航路(アクアネット広島):https://www.aqua-net-h.co.jp/heritage/

■川面から記念公園へ 平和を考えながら

 フェリーとは打って変わって、水上バスを思わせる平らで小さな高速船に乗り込みます。窓際に座ると、目の高さが海面に近いこともあって、思った以上のスピード感。波しぶきを上げながら窓に流れる島の景色を眺めているうちに、登山の疲れも相まってついうとうとと……。

フェリーとはまた違った視点から海と島を眺めながら

 はっと気づくと、船は旧太田川の河口に向かってゆっくり進んでいくところ。それほど広くない川幅を進む船から見上げる街の風景に、アニメ『この世界の片隅に』の冒頭、主人公のすずさんが帆かけ舟で広島に向かうシーンを思い出しました。

川からの景色が新鮮な平和記念公園へのアプローチ

 旧太田川から元安川へ、原爆ドームを仰ぎ見つつ、船は元安橋のたもとにある船着場に到着。船を降りて階段を上がれば、原爆ドームはすぐ目の前です。

 広島を初めて訪れる方には、ぜひ平和記念公園をゆっくり歩き、平和記念資料館にも足を運んでいただいて、自由に登山を楽しめる平和があることの大切さをかみしめながら、現在大変な思いをしている人たちにも一日も早く平和が訪れるように祈っていただけたらと思います。

 なお、原爆ドームのすぐ横にある「おりづるタワー」は、屋上の展望デッキ(有料)から広島の街が一望でき、思いを込めて折った折鶴を「おりづるの壁」に投入する体験もできます。1階には広島の物産館もあり、名産品やお土産を買うのにも最適。2016年オープンの新しい観光スポットです。

町なかの船着場。広島駅に行くリバークルーズもあるそう
さまざまな思いが交錯するなかで静かに手を合わせます

■一日まるごと盛りだくさんに楽しむ大人の修学旅行を!

 盛りだくさんの一日の締めくくりには、広島風お好み焼もいいですね。市内には「お好み村」をはじめ、いたるところにお好み焼屋さんがあるので、評判をチェックしつつ、比較的リーズナブルな地元の味を楽しみましょう。

 修学旅行のメッカでもある広島で、登山も観光も味覚もあきらめない贅沢プラン。旅の計画を立てるなら、ぜひ候補のひとつとして検討してみてください。

おりづるタワー展望台からの平和記念公園