登山で気温が上がるにつれて「虫」の活動が活発化してくる。思いがけず虫に刺されて「最悪…」と後悔する前に、登山ではどんな虫の危険があるのか把握しておこう。なかには放置すると命の危険があるものもいて、知らなかったでは済まないことも!

 今回は、登山における一番の対策方法として服装の基本から解説、そのうえで効果的な虫除けグッズを紹介する。

■登山における虫の被害

 登山で襲われる可能性がある「虫」は多種多様だが、主にヤブ蚊・アブ・ブヨ・マダニ・ヤマビル・スズメバチなどの虫対策が必要である。

 これからの時期に厄介なのが「ブヨ」で、一旦吸血されると激しいかゆみが生じるのが特徴。人によっては大きく腫れることもあり油断ならない。主に水辺や川沿いに多く潜んでいて5月下旬頃から活動が活発化、登山中に集団で襲ってくることもある困った奴だ。

 「マダニ」の被害も各地で増えてきている。大きさは3-4mm程度と非常に小さいが、吸血すると大きく腫れ上がるので被害に遭ってから気づくケースが多い。無理に引き剥がそうとすると歯が皮膚に残ってしまい、放置すると感染症で死に至るケースもある恐ろしい虫である。マダニに噛まれた際には病院での治療が必要だ。

 「ヤマビル」のいる山域を歩く時にも要注意。気温20℃以上のじめじめした気候を好むので、特に4月頃〜11月頃の雨が降った後に活発化する。人が吐く二酸化炭素や体温に反応してシャクトリムシのように動き、驚くべきスピードで足元から這い上がってくる。血を吸われても痛みを感じないが、ヒルジンと呼ばれる血液凝固抑制物質を注入して吸血するので、血が数時間止まらなくなるという被害が生じる。

 「スズメバチ」も攻撃性・毒性が高いので注意が必要。制汗剤や整髪料などの甘い匂いに反応することもあり被害が増えている。