■登山における服装の基本

 虫被害の一番有効な防御策はやはり「服装」に気を付けること。虫対策の観点から。登山時の服装の基本を紹介する。

●長袖・長ズボンを推奨

 日本の登山シーンでは「長袖長ズボン」が推奨されている。虫対策の他にも、日焼け防止・けが防止の観点からも「登山の基本」として考えられている。

 近年ではアウトドアブームの影響もあり「マダニ」の被害が増えてきているが、長袖・長ズボンを着用して肌の露出をなくせば、防げる確率が大幅に高くなる。ヤブ蚊・アブ・ブヨ・ヤマビルなどの被害を防ぐのにももちろん有効である。

 長ズボンではなくタイツではダメなの?  という意見もあるが、タイツはズボンに比べると薄いので破れやすく、虫の歯や針は貫通してしまう可能性がある。長袖と聞くと「夏に歩く際には暑すぎる…」と思うかもしれないが、速乾性の高いベースレイヤーを選ぶことで多少は改善できる(コットン素材などは不向き)。

 また、夏の強い日差しに肌が直接さらされると体力を消耗するので、肌の露出はできるだけ少なくした方が良い。

●頭や首元をカバーする

 登山で帽子をかぶることは虫対策にも有効だ。日本人の髪色は「黒」や「ダークカラー」が多く、蜂に狙われやすいので、特に注意が必要である。近年では、ブヨなどまとわりつく虫対策用にネット付き帽子も販売されているので要チェックだ。

 首元の皮膚もやわらかく虫に狙われやすい。できるだけ露出しないようにバンダナやネックゲーターなどでカバーするようにしたい。

●黒色・紺色は避ける

 黒色や濃い色の服装は、アブ・ブヨ・スズメバチなどに狙われやすくなると言われているので要注意。特に、虫の活動が本格化する夏シーズンは色が薄めな爽やかなカラーの服装を身につけることをおすすめする。