■1日目は、超短距離種目“スプリント”

スプリントコースのインスペクション(下見)をする選手たち

 4月2日、会場のオグナほたかスキー場は爽やかな青空が広がり、春の陽気に包まれた。営業終了したゲレンデには、もったいないほどのたっぷりの雪が残っていたが、朝は気温が低く硬く締まっていた。しかし強い日射に照らされて気温はぐんぐん上昇。雪はみるみるうちに緩み、選手はインスペクション(下見)、予選、決勝と、刻一刻変化する雪質への対応に迫られた。

 スプリント種目は、コース全体が見渡せるくらいの狭い範囲で行なわれる。シール登高、スキーを担ぐツボ足登高、滑走のセクションがあり、規制されたコース内をジグザグに登るなど、さながら障害物競争のよう。

 超短距離のために瞬発力やレース運びの正確さなどが重要となるが、トーナメント戦のため、ペース配分や、勝負をかけるタイミングなども大切だ。ちなみに私は初めてのスプリントレースだったが、見事に配分を誤り、最初のタイム計測よりも本番の決勝でタイムが落ちるという残念な結果に終わったのであった。

圧倒的な登りの強さで優勝した島徳太郎選手

 シニア男子は島徳太郎選手(22)が優勝。決勝では、序盤にトラブルに見舞われたものの、最後尾から全員を抜いて優勝するという圧倒的な強さを見せつけた。シニア女子では、若手ホープの上田絢加選手(29)が優勝を飾った。

 SKIMOではここ数年、若手選手の参入が増えており、今回のスプリントでも、ユース男子に宮下環選手、ユース女子は小林華蓮選手、18歳以下のショート男子には笹川勇太選手・山田朝陽選手など将来有望な選手が活躍した。

■2日目は、登り・滑走を含む個人種目“インディヴィジュアル”

凍った雪質・急斜面などテクニカルなコース

 大会2日目は、SKIMOの花形種目とも言える個人戦“インディヴィジュアル”が行われた。天気は1日目と打って変わり、朝からどんよりとした曇り空。前武尊山の山頂付近は雲に覆われ、雪も硬い状態。このため山頂付近のコースをカットすることが、大会主催者によって発表された。主催者はじめ、選手も楽しみにしていた山頂へのアタックだったが、救助体制などを鑑みて必要な判断だった。

 午前10時、レーススタート。ゲレンデ下部や中部でも、もうすでに雪が硬い。急斜面のキックターン(ジグザグに方向転換すること)では、シールを利かせるのが難しく、登るのに手間取る選手もみられた。

 なかでも強烈なインパクトがあったのが、スキーを担いで登るツボ足区間。日本の他大会に比べて2倍はあろうかと思われる距離と高さで、まるで目の前にそびえる白い壁につけられた「天国への階段」であった。

トップを走る加藤淳一選手と、それを追う平林安里選手

 シニア男子では、序盤、ベテラン加藤淳一選手(42)に、若手の平林安里選手(24)などがくらいつくが、周回の2周目からは加藤淳一選手が群を抜き、そのまま1位でゴール。ちなみに、2位から4位は全員が20代の選手だった。加藤選手の豊富な経験が生かされた、ハードなコースならではの結果と言える。

 シニア女子は、若手の上田絢加選手(29)が強さを発揮して優勝。スプリントと合わせて2冠を達成した。2位はベテラン堀部倫子選手(47)。単純に年齢だけで勝負が決まらないところも、SKIMOのおもしろいところだと言えるだろう。

スプリントは20名、インディビジュアルは27名が出場した

 「第1回 HOTAKA SKIMO SUMMIT CHALLENGE」は、レースが行われる環境・コース設定など、高いポテンシャルをもった、非常におもしろい大会だった。山頂まで行けなかったのは残念だが、来年こそはコンディションに恵まれて、山頂アタックができることを楽しみに、今後の大会の発展を期待したい。