アウトドア環境が豊富な信州・諏訪の地で1200年以上の歴史を持つ大祭がある。「御柱祭(おんばしらさい)」だ。その勇壮さと熱狂ぶりから天下の大祭として知られている。

 御柱祭は寅と申の年に行われる祭りで、数えで「7年に1度」という表現をすることが多い。今年は寅年だ。地元の人たちが心血を注ぐ7年に1度の天下の大祭「御柱祭」について、地元在住の筆者が紹介する。

■地域の人たちの想いが繋ぐ「御柱祭」は「諏訪大社」最大の神事

人が鈴なりになっているV字の部分は御柱の両端についている「めどでこ」で、これは上社の御柱の特徴(写真:諏訪地方観光連盟)

 「御柱祭」は正式には「式年造営御柱大祭(しきねんぞうえいみはしらたいさい)」といいう。地元では単に「御柱(おんばしら)」と呼ぶことも多い。「御柱祭」は全国各地にある諏訪神社の総本社である「諏訪大社」の最大かつ最重要の神事だ。

 諏訪大社は諏訪湖北側の下社(春宮と秋宮)、南側の上社(本宮と前宮)の合計4つの宮から成る神社で、それぞれの宝殿(前宮除く)の造り替え及び社殿の4隅に「御柱」と呼ばれる大木を建てるのが「御柱祭」だ。

御柱祭は4月の「山出し(やまだし)」と5月の「里曳き(さとびき)」の2つの日程で行われる。山出しを終え、里曳きを待つ下社の御柱(写真:諏訪地方観光連盟)

 「御柱」となるのは長さ17mほどにもなる巨大なモミの木だ。この巨木を人力のみで山から曳き出してくる。上社の8本は原村・茅野市・富士見町・諏訪市の氏子が、下社の8本は諏訪市・岡谷市・下諏訪町の氏子がそれぞれ地区ごとに担当する。地域住民はもちろん国内外からもたくさんの観光客が詰めかける「御柱祭」は「人を見るなら御柱」と言われるほどの賑わいを見せる。

地元のお店には特設コーナーが現れるなど、寅年と申年は町全体が御柱色に染まる

 御柱の年となると地元の新聞やテレビでは毎日のように御柱関連のニュースが流れ、期間中は地域の学校や企業が休みになるなど、「御柱祭」は地域に深く根ざした祭りだ。7年に1度の天下の大祭に地元の人たちがかける想いは並々ならぬものがある。その想いが平安時代から続く御柱の伝統を守ってきたといえるのではないだろうか。