寝具選びは、寝袋とマットをセットと捉え、「1つの就寝システム」として考えよう。その目的は明快で、安楽な姿勢で体温を快適な温度に保つこと。これは過酷な無人地帯の旅だけでなく、キャンプ道具選びにも共通する考え方だ。

 就寝時、体熱は空気中よりも地面側に多く逃げる。快適な姿勢を保ちつつ、地面と体を隔ててくれるマットはおろそかにできないギアだ。「緩衝性と断熱性」があるものを選びたい。

 エアマットはコンパクトさと厚みを両立するが、パンクに弱い。クローズドセルマットタイプは、パンクしないが嵩張る。それぞれに長所と短所があるので、フィールドと季節、遊び方に合わせて最適なものを選びたい。

 マットに合わせる寝袋は、「遭遇し得る最低温度」に対応できる厚みのものを選ぶ。ある旅で寝袋を省略してマットとシュラフカバーで挑んだ仲間がいたが、旅の間中、彼は寒さに泣き続けた。

 睡眠の質は体力回復に大きな影響を及ぼすので、寝具選びには念を入れたい。

■<マット>クローズドセルか、空気膨張式か

右からクローズドセルタイプ(カット済み)、軽量タイプのエアマット、厚みがあり石の上でも体を柔らかく受け止めるタイプのエアマット

 マットは、発泡素材を使うクローズドセルマットと空気膨張式マットに大別できる。

 空気膨張式には、空気を封入して弾力を保つエアマットと内部のフォームの弾力で膨らむ自動膨張式の2種類がある。

 クローズドセルは嵩張るがパンクの心配がなく、エアマットはパンクの危険があるがコンパクトになるのがそれぞれの利点。自動膨張式は膨らませる手間がないが、エアマットほど小さくならず、パンクの危険もある。よって、強さが必要な旅ではクローズドセルマット、コンパクトさが必要な旅ではエアマットが現実的だ。