寒波と共に幾度もドカ雪が降り続き、長野県の北部では大雪警報の発令もしばしばあった。場所によっては除雪した雪の排雪がひっきりなしに行われ、大型トラックに大量の雪を載せて雪捨てに忙しい……。
長野県最北端に位置する栄村は、新潟県・群馬県との県境に位置する。北部は千曲川が流れ、南部には苗場山や鳥甲山など、2,000m級の山々が急峻な斜面を見せている。日本海型の気候と地形により冬季の積雪量は凄まじく、豪雪地帯として全国でも有名だ。
その北東端、新潟県境にほど近いJR飯山線「森宮野原駅」にあるのが、“日本最高積雪地”の標柱だ。これは、昭和20年の豪雪の際に、森宮野原駅付近で最高積雪7.85mを記録した際、当時としては日本一の積雪量を記念して立てられたもの。
積雪の高さを比較して「日本一」を謳う土地はいろいろあるが、人が生活する場所、しかも駅前でのこの積雪量には圧倒される。当時の積雪を示す指標は遥か高く、見上げる首の角度にその高さ感じる。周囲を見渡し、その高さの雪で覆われた様子を想像すると恐ろしい……。それでも、駅前の標柱は、長年雪と共に暮らしてきた人々の思い出のシンボルでもあるのだろう。
取材日は天気もよく暖かい日だったためか、平日にも関わらず絶えることなく観光客が訪れ、写真を撮っていた。
同じ敷地内には、東日本大震災の翌日、2011年3月12日同地を襲った地震の被害を後世に伝える「栄村震災復興祈念館・絆」も建っている。復旧・復興の記録や防災に関わる情報の他、近隣の自治体を含めた観光情報なども取り扱っている。
ここ数年積雪が少なかったため、この冬はかなり雪が多い印象だが、ここに暮らす人々は淡々と語る。「以前なら(家の)2階の窓から雪の上に物を置けたけど、今年はまだそれほどじゃない……」
まだまだ冬は折り返したばかり。今後どの程度寒さが続き、積雪が増えるか気になる。屋根雪下ろしなど危険な重労働を何度繰り返すのか心配だ。除雪の手を止めて話をしてくれた人たち……。その表情は明るく、逆に元気をもらった気がした。