実際に下ってみて、いい感じで下れたら大発見だし、そこが最高の清流だったりした日には狂喜乱舞。なんか「自分だけが見つけた、とてつもなくカワイイ地下アイドル」って感じで、誰にも教えたくない! でもこの発見を知ってほしい! って、複雑な気分になるのだ。

 根尾東谷川は、まさにそうだった。情報過多な今の時代、こういった「未知なる冒険からの大発見」ができるのは、何ものにも変え難い喜びなのである。

この美しさ!  自然と笑顔になってしまう

 しかも、冬の川旅には大きな精神的な快楽が潜んでいる。寒く厳しい世界だからこそ、そこにはシャンと背筋を伸ばしたような凛とした自然の姿がある。その自然の一部になれるという贅沢さは、夏の川とはまた一味違った感覚なのだ。このヒリヒリとした動物的な感覚が好きだから、僕は冬の川にも行ってしまうのかもしれない(ただのマゾじゃないんだよ)。

冬の川はどこか荘厳で、教会のような聖域感がある

 根尾東谷川は渓谷の川なので、大きい河川に比べて危険箇所や、道路から確認できない区間も多い。また、台風ごとに予期せぬ倒木が川を塞いでいることもあるので、よく行く川ほど、冬の間にポイントをチェックしておくといいだろう。

<根尾東谷川 後編に続く>