■白金触媒式カイロの5つの魅力
約100年前に誕生したレトロなカイロであり、最初の点火に至るまでの手間は必要である。だがその性能は他の方式のカイロを圧倒するものだ。
●魅力1 高い発熱量
本来であれば火がつく燃料を、触媒によって150~300℃程度の低温燃焼させるのが、白金触媒式カイロの原理。その熱量は使い捨てカイロの10倍以上、金属製の本体はそのままでは持てない程熱くなる。専用袋に入れるのは、熱さを和らげるためでもある。金属剥き出しの状態はもちろんだが、専用袋にいれても他のカイロ同様、低温火傷のリスクがある点には注意が必要だ。
●魅力2 氷点下でも発熱
使い捨てカイロの弱点は、氷点下では使えない点。使い捨てカイロは鉄の酸化熱を利用するため、その酸化促進には空気中の水分が必要だが、氷点下では水分が凍結するため使えなくなってしまう。
一方、白金触媒式カイロは気化した燃料と酸素が有ればOK。カイロそのものが発熱する仕組みもあり、気温が-20~-40℃でも発熱するため、南極など過酷な現場でも使われているという。
●魅力3 長時間持続
スタンダードサイズであれば、最大量25㏄の燃料で24時間発熱し続ける。燃料の気化具合で持続時間が変わる関係上、低温であるほど長持ちするというのも特徴だ。
●魅力4 持続時間が調整できる
先にも述べたが、25㏄で約24時間。計量カップ1目盛で6時間分となっていることが多い。これを目安に、使用時間分だけの燃料を入れることで、無駄なく使い切ることができる。
●魅力5 燃料補充で再使用
最大の特徴は燃料式であるため、基本使い捨てではないところ。使い捨てカイロのように、使用する度にゴミを出すことはない。触媒部分が1~2シーズン、中綿が5~10年程度での交換が推奨されているが、それでも圧倒的にゴミの量は少ないといえる。
燃料も500㏄で1000円以下であり、480時間分使用可能と考えるとコストパフォーマンスもよい。強いて言えば、燃料を使うとやや臭いがするが、指定された燃料を使えばそれも少ない。
誕生から約100年、レトロでありながら性能は抜群。燃料を使う上でのクセはあるものの、手間がかかるぶん愛着が出る一品と言えそうだ。