日を追う毎に気温が低くなり、キャンプ場の地面にも霜柱が立つようになった。いよいよ焚き火シーズン本番であります。

 焚き火は暖かいし、眺めていると心が癒される。そして料理を作るのが楽しい。食材を炎で豪快に炙ったり、熾火でじっくり火を通したりと、さまざまな調理ができるのだ。それに、油があちこちに跳ねても気にしなくていいのが痛快。家の台所だったらそうはいかない。

 そこで今回は、数ある缶詰の中から火の似合う3缶を紹介したい。絶品おつまみになる2缶と、食後のスイーツに最適の1缶であります。

■汁まで美味い定番水煮缶詰

ホタテ貝柱水煮缶詰。たっぷり入った汁がウマい

 まずはホタテ貝柱水煮の缶詰から。昭和40年代(1960年)からある定番缶詰のひとつで、全国のスーパーで売られている。水煮というのは缶界(缶詰業界)特有の妙な表現で、水で煮ているわけじゃなく、塩水で煮ている。つまり塩味だ。

 値段はホタテの質によってかなり違う。貝柱が原型のまま入っていて、サイズが大きいものほど高級品になる。原料価格が高いうえに、形が崩れないよう細心の注意を払って扱うから、1日の製造量は限られてくる。そういうホタテ缶はおおむね1,000円以上で、缶界ヒエラルキーではカニ缶などに並ぶ上位階層所属である。

 一方、崩れた身を集めて使ったり、フレーク状にして詰めたものは中位階層の所属。実売価格300円くらいからと比較的安いが、それでもホタテが持っている本来の旨味は存分に味わえる。