11月28日、岡山市で路線バスと路面電車の「運賃無料DAY」が実施された。岡山市内を走っているバスに乗り放題となる希有な1日だ。

 バスや電車が少ない地方では、都市部郊外の低い山へハイキングに行くにしても、マイカーを利用しがち。しかし公共交通を工夫して使えば、結構楽しめるのではないか?

 そんなことを実証するために、路線バスだけを利用して1日でどれくらいの山を巡ることができるかを試してみることとした。

 山、といっても定義が難しいため、ここでは二等三角点に限定することとした。三角点とは全国に10万カ所以上ある測量の基準で、うち重要度の高い二等以上の三角点は、その多くが見晴らしの良い山頂に設置されている。この日は絶好のハイキング日和。澄んだ青空に誘われるように、出発した。

■旅のルール

「運賃無料DAY」のチラシが張られた岡山駅バスターミナル

 午前8時にJR岡山駅を出発。午後5時までの9時間で、二等三角点をできるだけ多く巡る。移動は徒歩とバスのみ。バス路線や時刻表をネットで調べることは可能。三角点は、国土地理院の「基準点成果等閲覧サービス」で調べた。また、遭難や事故を防ぐため、ルートは登る前に下調べを行った。

■早々に1カ所目へ到達 その後バスの乗り継ぎ失敗

 まずは岡山市中心部にある小さな山・京山近くにある三角点「伊福」(76メートル)を攻めることとした。岡山駅発8時17分の中鉄バスに8分ほど乗車し、バス停「三門二丁目」で下車。20分ほど住宅街を歩いたのち藪に入り、目的地に到着。

木に覆われうっそうとした三角点「伊福」

 三角点の回りは木に覆われてうっそうとしており、景色は全く見えない。「三角点マニア」とおぼしき人による到達記録が残っていた。帰りはバス停まで10分ほどで下山できた。

 その後、岡山市郊外の展示場・コンベックス岡山へ向かうことに。ここはバス停のすぐそばの工業団地内に三角点があるチャンスポイント。しかも今から岡山駅に戻れば、コンベックス行きのバスにちょうど乗り継げる。「なんだ、思ったより楽勝じゃないか」という楽観論が頭をもたげてきた。

 しかし、事はうまく運ばない。この日は無料DAYということで乗客が多く、降車に時間がかかってしまった。やっとの事で降りてバス乗り場へ急いだが、乗ろうとしたバスにぎりぎり間に合わず、車両の後ろ姿を呆然と見送るしかなかった。太川陽介さんも、こんな気持ちになるんだろうなあ……。