■活気あふれる放流の朝
受付開始の2時間前に駐車場に到着し、川の様子を見ながら準備をする。漁協の方々が慣れた様子でトラックから次々と魚を下ろして川に運んでいく。川辺は早朝から活気にあふれていた。
なかには「こんな大きいサイズが掛かったらどうしよう……」と思うほどの大型のものも混ざっている。冗談で「釣れなかったとき用に」と言って写真を撮らせてもらった。まさかその写真が、実際に役立つとはこのときはまだ思っていなかったのだが……。
群馬漁業協同組合:https://gunmagyokyou.blog.fc2.com
■ようやく出た貴重な一本
さすがは都市部の川だけあって釣り人の数も多い。エサ、ルアー、フライとそれぞれの道具を携えて両岸にひしめき合い、大物を狙う光景は圧巻だった。まるで祭りのようで、それこそ“オマツリ” (※)しないように気を遣う……。この日はどうやらエサ釣りに分があるようだった。長い竿を弓なりに曲げている光景をうらやましく眺めながら、有望そうな流れにフライを丹念に流し続けた。
※ 自分の仕掛けが他人の仕掛けと絡まってしまうこと。
そのまま下流へ釣り下っていくと、ようやく釣り人の密度も薄くなり広いスペースができた。気持ちよくフライを流すと……。突然ひったくるようなアタリとともに魚が掛かった。感触で大物ではないのはすぐにわかった。けれどようやく掛かった貴重な一本。「逃すまい」と、慎重に手元に寄せて無事にネットイン。網に入ると同時にフックが外れた。あぶなかった……。