初雪、初冠雪の便りが各地の山から届き、確実に冬に向かって季節が進んでいる。いち早く雪上に立ってウインタースポーツを楽しみたい人は、ワクワクしながら用具の準備や計画を立てていることだろう。

 しかし、用具を物置やバッグから引っ張り出すだけでは準備とはいえない。オフシーズンに保管しておいた板(スキースノーボード)は、数ヶ月の間にも酸化して劣化は進んでいるだろう。

 今回はシーズン前、用具の使用準備のためのチューンナップについて、3つのステップで説明したい。

ステップ1:滑走面の手入れ

ワックスが白く酸化した滑走面。ワックスのおかげで滑走面は酸化せずに守られている

 まずは、大切な自分の板(スキー・スノーボード)の状態を把握する。

 どんなに保管状況の良い場所に置いていても、空気に触れている限り物は酸化する。そのため滑走面を保護するためにホットワクシングをしておくのだが、時間が経過すると塗っておいたワックス成分が酸化して白くなっているはずだ。数年も保管したままにしておくと真っ白になってしまうが、塗っておいたワックスが白く酸化すること自体は大きな問題ではない。

※滑走面の劣化を進めないため、保管のためのチューンナップに関しての記事(https://bravo-m.futabanet.jp/articles/-/120045

 ただし、ワックスを塗らずにそのまま保管して滑走面が白く酸化してしまうと、滑走性能や操作性に甚大な悪影響を与えてしまう。そのような場合はサンドペーパーなどで滑走面の表面を削り落とす。きちんと保管してある場合でも、まずは点検が必要だ。白く酸化したワックスも、スクレイパーで剥がしてからブラッシングすれば、元のきれいな滑走面がでてくるはずだ。ワックスが吸着した滑走面はピカピカと光沢を保つ。

 逆に、酸化してしまった滑走面はガサガサとした質感になってしまう。このような場合はチューンナップショップなどに出してきれいにしてもらう方が間違いないだろう。この時期、チューンナップショップは忙しくなってくる。早めに作業を依頼しておかなければ、シーズンインに間に合わなくなってしまうので注意が必要だ。

ステップ2:エッジに輝きを

砥石の扱いは慣れが必要。習熟して堅い砥石が使えるようになるとエッジはさらに光る!

 滑走面はホットワクシングのコーティングで酸化を食い止められるが、金属のエッジは少々厄介だ。金属は樹脂よりも酸化が進みやすい。いわゆる錆だ。

 こちらも前回の記事https://bravo-m.futabanet.jp/articles/-/120045でワックスを生塗りしておく小技を紹介してあるが、これだけでは完全なコーティングはできない。保管状況が悪ければ錆が浮いてくる。この錆が進行して内部に侵食してしまうと問題だが、軽度であればすぐに除去できる。ワックスを塗っておくのは、症状を軽度にとどめるためのちょっとしたテクニックだ。

 錆はファイル(ヤスリ)で削り落としてしまえばきれいな部分が出てくるが、削ってばかりではエッジがなくなってしまう。まして、保管前にエッジもチューンナップしてあれば二度手間だ。

 しかし、よほどのことがない限り、数ヶ月のオフシーズンで錆が深刻に進行することはないので安心してほしい。滑走面のワックスを落とした後は、エッジのクリーニング。これには砥石を使う。砥石にもいろいろな種類があるが、基本は水砥石。錆がういている箇所は柔らかい砥石を使い、あとは硬めの砥石で全体を磨き上げる。エッジの角を丸めないように、滑走面側とサイドウォール側を丹念に磨いていくと滑走面同様の光沢あるエッジに仕上がる。