約20年前、日本でマウンテンバイク(MTB)が大流行していたのをご存知でしょうか。オシャレな人たちがこぞって原宿辺りをMTBで走っていたそうで、意外にもストリートファッション的な背景を持っていたのですね。近年のアウトドアやスポーツバイクへの関心の高まりにより、ここ最近またMTBの人気がじわじわ復活してきているとのことです。

 今回、専門家に話を聞いてみようと、日本最大級のスポーツバイク専門店であるワイズロード東大和店の大野店長に色々教えて頂きました。結果、スポーツバイク初心者であっても、街乗り用にもMTBという選択肢は、大いにアリなのだと分かりました。

スポーツバイク専門店 ワイズロード東大和店 店長の大野さん

■そもそもマウンテンバイクって何?

 元々はアメリカ西海岸のサーファーが乗っていた、砂浜などの悪路でも安全に走行できるように考案された自転車「ビーチクルーザー」を使って、誰かが山を下って遊んでみたというのが起源だそう。楽しいことが大好きな人たちのやんちゃな精神がDNAとして組み込まれているのですね。

■欲しいなと思ったら一番最初にすべきこと

 大野店長は普段お客さんに、「どんな風に遊びたい?」と聞くそうです。街乗りメインで、少し砂利道などのオフロードを走りたいのか、山に行くとしたら某スポーツ飲料メーカーのCMさながらに走ってみたいのかなど、自分がわくわくして楽しくなるイメージを膨らませることが大切とのことです。

●イメージのポイント

 自転車の楽しさの原体験を思い出すのもオススメだそう。子どもの頃、自転車で坂をしゃーっと下るのが楽しかったな、とか、ロードバイクに乗っている方は登りが好きなクライマータイプの人もいるかと思います。登りと下り、どちらが好みか、好きになりそうかによっても選ぶ車体が異なるようですので、ぜひ想像してみてください。

■値段はピンキリ。何が違うの?

 MTBの値段は5〜100万円以上までと大変幅広いですが、それぞれの特徴をお伺いしながら、初心者の方にオススメのモデルをいくつか教えてもらいました。

●10万円以下のモデル:街乗りがメインで、細いタイヤに抵抗がある方

 MTBは価格に関わらず全般的にタイヤが太くしっかりしているので、10万円以下で検討する場合もクロスバイクより走れる路面の選択肢が広く、頑丈でパンクのリスクも少なくなります。砂利道などの舗装されていないところを走る方や、細いタイヤに抵抗がある方などにオススメのタイプ。

太くてゴツゴツしたタイヤが特徴

 この価格帯の特徴は、フロントフォークにのみ路面の振動を吸収してくれるサスペンションと呼ばれるパーツが採用されているところ。これを通称「ハードテイル」と呼ぶそうです。サスペンションのグレードによって、金額がかなり上下するそうで、詳細は後述します。

黄色い枠で囲った部分がフロントサスペンション。この部分が路面の凸凹に合わせて上下に動き走行が安定する。

写真のモデルはSCOTT「ASPECT 970」 68,200円(税込)