■撥水性(防水性とは違うからね!)
では、それぞれの部位ごとの特徴や着用感を見ていこう。撥水性とは生地表面の水弾きのこと。新品時にはどのメーカーも大差なくよく水玉を弾いてくれる。数日間着用して敢えて厳しく評価するならば、パタゴニアの撥水性がいちばん良く感じられた。次席がモンベル、その次がミレーといったところ。ただ、撥水性に関しては、近年は国や地域の工業規格、メーカーの自主規制などによって環境に配慮した撥水剤を使っているところが多いため、一概に比較するのは難しい。
じつはモンベルは昨シーズンから継続して着用しているのだが、着用回数を重ねるごとにやはり撥水性は落ちてきている。しかし、洗濯機で普通に洗って、乾燥機かアイロンで熱処理をすれば撥水性は回復する。その際に使用する撥水剤によって撥水力の持続性は多少変ってくるが、いわゆる「環境に配慮した」ものほど撥水持続性はそれなりな気がする。どこの撥水剤が強いかは一応自主規制しておくが、この撥水剤のチョイスと適切なメンテナンスによって撥水性の順位はあっさり入れ替わることは十分ありえる。
ちなみに撥水性と防水性は違う。ハッキリ言ってしまえば、防水性に関して言えば、3メーカーとも生地自体は水は通さない。しかし、撥水性が落ちてしまうと、生地表面がべっとりと濡れた感じなり、透湿性能も著しく落ちてしまう。そのためレインウエア内部の発汗による湿気も飽和状態なり、ウエア内部が(自分の汗で)濡れてしまうため、結果、「防水性が落ちたー」と感じられるわけである。だから、いくらスペック的に透湿性能が良くても、しっかりと撥水性をメンテナンスしておかなくては台無しで、さらに言えば、下に着ているウエアが上手に吸汗して気化させて、透湿させてくれる状態にしてくれるか否かによっても体感される透湿性は大きく異なるのである。
■透湿性能(ウエア内部の湿気を外に排出する性能)
蒸し暑い日本の梅雨の低山という気候コンディションのもと、撥水性が落ちていない状態で、運動量と下に着ているウエアの条件が同条件で比較した結果は、ミレーのティフォンの透湿性がかなり良い。ここはカタログスペック通りと言える。次いでモンベルのゴアテックス。最後がパタゴニアのH2Noなのだが、これが逆に標高の高い山や晩秋の冷たい雨の中とかなら、パタゴニアは暖かく、心強く感じられるだろう。事実、パタゴニアのトレントシェルをスキー/スノーボードウエアとして代用している人もいるほどだ。