北八ヶ岳の苔むす森にひっそりと水をたたえる白駒池。山奥ながら、すぐ側を国道が通り、駐車場から歩いて15分でアクセス可能だ。白駒池は八ヶ岳登山の玄関口のひとつでもあり、周囲には複数の登山ルートが延びている。そこでここでは、麦草峠から入山し、ひと山越えて池を目指す、高見石経由のルートを紹介しよう。
■苔むす森にたたずむ神秘の湖「白駒池」
白駒池があるのは山梨県と長野県の県境にそびえる八ヶ岳連峰の北部。標高2115mの森の中にひっそりとたたずんでいる。北八ヶ岳と呼ばれるこのエリアは山の形がなだらかで、樹林に囲まれた窪地に水をたたえた池がぽかりと浮かぶ。小さな池だが、湖畔を周遊したり、苔むした森を散策したり、エリア随一の眺望を楽しんだりと、魅力がたっぷり詰まった場所なのだ。
■麦草峠からスタート
白駒池の近くを通るメルヘン街道(国道299号)は、北八ヶ岳を横断する峠道。ルート沿いにある麦草峠は、日本で2番目に高い場所を国道が通るとされている。峠に建つ麦草ヒュッテ前に登山口があり、ここから丸山を越えて高見石小屋を経由し、白駒池へと向かう。最初のポイントの丸山はヒュッテから50分ほどの距離。そこまで頑張って登れば、あとは下り道だけだ。
■白駒池がまるごと見える高見石
丸山のピークを越えて少し下ると高見石小屋に着く。この小屋の裏に高見石と呼ばれる岩山があり、よじのぼると八ヶ岳エリアでも人気の展望スポットが広がっている。眼下に白駒池、その周りに樹海のような森が広がり、連なる八ヶ岳の眺望も楽しめる。この景色を見るためにも高見石を経由するルートはおすすめなのだ。
■透明度の高い水をたたえた白駒池
高見石小屋からさらに森を下ると、視界が開けて白駒池が現れる。標高2100m以上にある湖としては国内最大の天然湖で、水の透明度が高いため、風のない日は水面に木々や空が鏡写しになって美しい。池の周囲には5月頃まで雪が残り、夏は新緑、秋は赤や黄色に染まったナナカマドやドウダンツツジが湖畔を縁取る。冬は湖面が完全凍結して雪原に様変わりするなど、四季折々の景色が楽しめる。