■池をとりまく森をぐるっと周遊

木々が大きな岩に根をからめ、その上を苔が埋め尽くす

 白駒池の周囲にはシラビソやコメツガなどの原生林が広がり、なかには樹齢数百年といわれる巨木もある。池に沿ってぐるりと散策路が敷かれているので、周囲1.8kmの湖畔を40分ほどで周遊できる。木々が茂った森は日差しが届きにくいため日中でも薄暗く、夏でも空気がひんやりしていて心地いい。池を挟んで向かいあうように2軒の山小屋が建ち、休憩しながら湖畔をめぐれる。

■周囲の森は、苔の宝庫

苔をじっくり鑑賞すると小さな森林のようで幻想的だ

 池の周囲の森には、日本国内に1800種類ある苔のうち485種類が生息しているという。木々の根元やごつごつした岩を包むように苔が群生し、まるで緑の絨毯を敷き詰めたような風景だ。群落をつくるセイタカスギゴケやコセイタカスギゴケ、岩にはりつくイワダレゴケ、倒木にみられるムツデチョウチンゴケなど、種類によって生息する場所が違ったり、姿かたちが違ったりする。ルーペを持参すると、苔の観賞がより楽しくなるだろう。

■帰りは違うルートを通って麦草峠へ

苔の森とはうって変わって庭園のような開放感がある「白駒の奥庭」

 白駒池から麦草峠に戻るルートは、池から白駒池駐車場方面に向かい、途中で左に折れて国道と並行して延びる登山路を進む。このルートの途中には、ハイマツやシャクナゲが自生する「白駒の奥庭」があり、行きとは違った景色を楽しめる。道もアップダウンが少ないので、足取り軽やかに麦草峠へと帰りつける。白駒池に向かうルートは、今回紹介したルートのほか、白駒池入口の駐車場からの遊歩道など複数のアプローチ方法がある。体力に応じたルートを選べることも白駒池のいいところだろう。