■適度な雑力の重要性

 こんな言葉が存在するかどうかは知らないが、山中では「雑力」が非常に大事なのではないだろうか。それは適当な判断力とも言えるし、野生動物が持つ感覚に近いかもしれない。

 話を始めに戻すと、服部さんが“見通し甘蔵”なのも雑力なのだと思う。どのジャンルの人も、卓越した人たちは雑力を上手く使いこなしている気がする。

服部文祥の楽園山旅 魚野川編4

 人間っぽさとは、ルールの多さと言い換えることもできるだろう。野生動物でもルールに従ってると、ちょっと人間ぽい。

 年齢を重ねるにつれて、ルールはどんどん増えていく。増え続けたルールに縛られてしまうのは息苦しい。自然の中で遊ぶこととは、そのルールから解放されるのが最大の楽しみであると思う。

「山は自由。何やってもいいぞ」と服部さんは言っていた。

 心のモヤが晴れるようないい言葉だと思う。世の中的には効率化、経済効果こそが良しとされ、ルールを遵守しないものは悪で、ルールに則っていれば自然破壊も許される。

 前回も書いたかもしれないが、私は無駄こそ人生を豊かにすると考えている。

 生きていくのは雑なくらいが気楽で良い。

「服部文祥の楽園山旅」最新作では魚野川を遡行している