■今が見頃、日本特産のユリ「ヒメサユリ」

 福島県南会津町のヒメサユリ(オトメユリ)が見頃を迎えている。「高清水自然公園」の管理棟の奥にある「ひめさゆり群生地」では、咲き誇る淡いピンクの花々が緑とのコントラストをなしていた。その景色は実に幻想的であり、時間が経つのも忘れて見とれてしまう。高原の風に揺れる花の姿はまさに乙女の可憐さだ。公園内を巡る遊歩道は整備が行き届き、足元もいいので気軽に散策できるようになっている。駐車場やトイレなど施設も十分だ。公園内には地酒「花泉」の仕込み水として使われている清らかな流れもあり、林野庁の「水源の森百選」に認定されている。

 ヒメサユリは宮城、福島、山形、新潟県の山地にしか自生しない貴重な植物だ。野生種は環境省のレッドリストにも指定されている絶滅危惧種。山地の位置や標高などの条件で各地で開花時期は変わるが、例年通りだと6月中旬から7月の上旬ぐらいまで開花する。印象的で可憐な花は、多くの市町村で「町の花」となっている。山いっぱいに咲き誇る様子を見ればそれも納得だ。

「高清水公園」は眺めもよく、絶好のドライブコースでもある国道401号線沿いだ。ドライブがてら同日訪れたお隣、昭和村の「矢ノ原湿原」のヒメサユリはまだポツリポツリと咲いていたぐらいだったので、これから見頃を迎えるだろう。昭和ノスタルジーを感じさせる「喰丸小学校」の築80年の木造校舎と大イチョウや川幅いっぱいに水が落ちていく見事な滝、「藤八の滝」など周辺には他にもまだ見どころがいっぱいだ。「気持ちのいい初夏のドライブコースを!」と探している人には、ぜひオススメしたい。