■魚影の濃い中流部(金原砂防堰堤〜堺川合流点付近)
まずは僕の過去の一番の実績ポイントである中流部でロッドを振った。見逃しそうなくらい小さな虫が川面を飛び交っている。如実なライズはないが、ドライフライで試してみる。いかにもヤマメが好みそうな、優しい流れ込みからの緩やかな"かけあがり"。距離をおいてドラグ(不自然な動き)がかからないように、静かにフライを流すとさっそく反応がある! 何度か流すレーンを変えると、いたるところから魚が飛び出してくる。楽しい! だが、まったくフックに掛からない。
そこでフライサイズを#19まで落として試してみた。すぐにヒット! ローリングしながら勢いよく走る。バラさないようにフライラインのテンションを保ちながらネットインした。予想していたより、ずっと大きく綺麗なヤマメ(26cmほど)が恨めしげな目で見上げている。
感謝して流れに帰した直後、もう一本追加した。小気味好く飛び出してくれたのはまたヤマメだった。こちらは最初の個体とはまるで違う特徴で、アマゴに似た特徴を持っていた。
沈み石の裏、流れがよれた箇所で流れのスピードに合わせてフライをわずかにゆっくりと揺らめかせると、今度はイワナ(25cm)がしっかりと針を咥えていた。その後も同じようなリズムで釣れ続けてくれる。
最後に訪れたのは2010年の夏。そのときにはニジマスばかり釣れたエリアだが、今回はヤマメとイワナが交互に釣れ、楽しませてもらえた。それほど大場所ではないが、居心地がいいポイントらしく、魚のストックはかなりありそうだった。ニジマスが一切釣れなかったのは偶然なのか、それとも放流をやめたのだろうか。いずれにせよ、本来外来種であるニジマスよりも、ヤマメやイワナが増えてくれる方が嬉しい。
目ぼしいポイントをひと通り流した後、後続の釣り人がいなかったため、少しだけダウン(下流方向)でフライを流してみた。いきなり呆気にとられるほど、思わぬサイズの魚体が躍り出た! 確実に掛かったと思ったが無情にもフライだけが宙を舞う。もう一度出てくれることを祈り、二度三度とキャストを繰り返したが、さっきのは夢だったと言わんばかり、豆サイズのヤマメが飛び出すだけだった。