多彩な地形が織りなす海岸景観!

摩天崖(まてんがい)の頂上から海面まで一望できます

 360度なにも遮るものなく、遠くまで広がる空と海の青と草原の蒼との対比もとても美しい島です。崖の岩脈や断層、しま模様がこちらとあちらの岩でつながり、太古の地球の火山活動により大陸ができ日本列島ができた。そして、いま現在も浸食や風化、見えない地下の活動により変化し続けていて決して同じ景色ではない。中学や高校で地殻変動についてわかった気でいたけど、実際に見た方がいいですね。「もう一度、学び直したい!  知りたい!  これこそ正にジオツーリズム!」と感動してしまった瞬間でした。

摩天崖遊歩道の標識

 海抜257mの高さまでほぼ垂直にそそり立っている摩天崖。崖の上の台地には春から秋の間は、牛や馬が放牧されています。牛馬が草原でのんびり思い思いにのんびりと過ごしていて可愛くて癒されます。まるで海外に訪れているような雄大な地平線が続く美しい景色を独り占めできちゃうかもしれませんよ。ただし、足元には彼らの落としものがあちらこちらにあるのでご注意を。

雄大な岩の架け橋「通天橋」。洞門、洞窟など多彩な海岸景観

 「通天橋」は、もとは洞窟だったところが地すべりによって背後が削られ、アーチ状の部分だけ残ったそうです。断層活動や地殻変動、冬季の季節風や波浪による浸食の時間経過を思うと、自分たちの時間なんてほんのひと時ですね。船上からスケールの大きい断崖絶壁や荒々しい岩肌を眺めることができる国賀海岸クルーズや観光船もあります。

■摩天崖遊歩道をのんびりと歩く

ゆったり食事中のウマたち。のびやかな景色が広がります

 摩天崖の頂上付近から通天橋、国賀浜までトレイルが整備されています。トレイル上には標識があります。お手洗いや東屋も整備されているので、景観や牧畜の健康に影響が出ないようにするためにも、用を済ませてから歩き始めましょう。牛や馬は農家さんの大切な財産です。中には神経質なコもいるので近づきすぎないようにしましょう。

整備されたトレイルは歩きやすい。のんびりとした時間の流れが心地よい

 西ノ島ではトレイルをのんびりと歩いて、島に流れる独特の時間を感じてほしいです。遠くまで広がる海原と水平線、草地を撫でる心地よい潮風、岸壁にぶつかる荒波の音、放たれた動物たちが草を噛む音がときおり聞こえてくるだけ。だだそれだけなのに、そのことがとても贅沢な時間に思えたのです。都会のようなスピードや利便性を求めるのではなく、心のゆとりを取り戻しにぜひ訪れてほしい島です。

 コロナ禍の最中ではありますが、落ち着いたらぜひ旅の目的地のひとつに加えてください。今ならばこの雄大な景色と環境を独り占めできるかもしれませんよ。