◼️1泊2日で歩きに行ってみた

雲がかかっていて日の出を見ることはできなかった

 1日目は、標高約2,800mのロッジに泊まり、周辺を散策。ネパールのロッジは、日本の山小屋という感じではなく、簡素なホテルという感じ。しかも1泊2食付きで2,000円前後と安価である。

 翌日は、朝4時に丘に向けて出発。目的は日の出を見ることだった。ネパールでも日本同様、みんな朝日と夕日を見るのが好きなのだ。丘の上に立つ展望台までは約3km。ゆっくり歩いても2時間ほどで着く。

「100の丘」という名前に偽りはなかった

 しかし、この日は厚い雲が広がり、期待していた朝日は姿を見せてくれなかった。少し残念に思っていると、日の出から3時間ほど経って、突然空が明るくなった。目の前には、どこまでも続く草原。霧が流れ、雲が切れ、丘が次々と姿を現す。まさに「100の丘」という名前にふさわしい場所だった。

 どこを目指すわけでもなく、連なる丘を自由に歩く。丘を縦横無尽に歩くことが、こんなに楽しいことだとは思ってもみなかった。気がつけば、朝日を見られなかったことなど、すっかり忘れていた。

◼️日本とネパールの登山の違いとは

 サイルンの標高は3,100mを超えている。日本なら3,000m級といえば、本格的な高山。装備を整え、天候を気にしながら歩く世界だ。ところがネパールでは、友だちと散歩に出かけるような感覚で若者たちが歩いている。

 面白かったのは、周りにいた彼らの格好だった。

標高3,100mとはいえ、ネパール人にとっては日常の延長

 ほとんどがスニーカー。リュックも普段使いのもの。中にはショルダーバッグの人までいる。雨具も本格的なレインウェアではなく、自転車やバイクで使うポンチョがメイン。日本だったら、「それで山へ行くの?」と言われそうな格好だ。

 でも、彼らにとってここは山ではない。「丘」なのだ。

普段使っているリュックとスニーカーで歩くネパール人

 写真やTikTok用の動画を撮り、おしゃべりして、お菓子を食べて、のんびり過ごす。どちらかというと、遠足やピクニックに近い。

 ネパールでは、日本でいう登山の対象はヒマラヤであり、それ以外は丘であり日常の延長として行くような場所なのだ。この感覚の違いは、とても興味深かった。

◼️シーズンオフの雨季も楽しい

 ネパールには雨季と乾季があり、6〜9月は雨季である。

 雨も多く、ヒマラヤが見えない日も多いため、外国人旅行者は雨季を避ける。もちろん、その気持ちはよくわかるし、実際、僕も移住する前は雨季にネパールを訪れたことはなかった。

雨季には雨季のネパールならではの魅力がある

 でも、今回雨のネパールを歩いて、考えが少し変わった。

 雨季の自然は、本当に美しい。森は深い緑になり、霧が流れ、雲海が現れる。渓谷や滝の水量も増え、苔も鮮やかになる。乾季とはまったく違う景色が広がる。しかも、観光客は少なく、ロッジ代も安い。ネパールの若者たちが、雨季でも楽しそうに歩いている理由が少しわかった気がした。

 ネパールといえばヒマラヤを思い浮かべる人が多いが、この国の魅力はそれだけではない。ヒマラヤにこだわらないのであれば、ぜひ一度、雨季のネパールの自然を歩いてみてほしい。きっと、これまで知らなかったネパールに出会えるはずだ。

丘陵地帯が好きな人にサイルン(Sailung)はオススメ