■「光るホタル」と「光らないホタル」の違いとは

 「光らないホタル」にも、厳密には光るものがいる。

 どういうことかというと、光るホタルとは一般的には”成虫になってからも強く発光するホタル”のことを指す。つまり、「幼虫の時には光る」「成虫になった後一時的に光る」といったものは、光らないホタルとして扱われるのだ。その前提のうえで、光らないホタルと呼ばれるものたちを紹介していこう。

 ムネクリイロボタルは、光らないホタルの中でもっとも出会いやすいと思われる種だ。配色はゲンジボタルやヘイケボタルと似ているが、胸部の形や色味が違う。なお、ホタルと言えば水辺にいるイメージがあるが、それは幼虫時代の生態に関わっている。ゲンジボタルやヘイケボタルの幼虫は水生だが、ホタルの中ではこのような生態を持つものは少数派。ムネクリイロボタルの幼虫は陸生だ。

ムネクリイロボタル

 オバボタルは、胸部にある赤い斑点が特徴的なホタルだ。胸部が能面の「姥」に見えることが名前の由来のようだ。こちらも陸生のホタルだ。オバボタルは平地で見られるホタルだが、主に山地に生息する「オオオバボタル」というよく似た種もいる。

オバボタル

 スジグロボタルは、赤いはねに黒い筋が入る、他のホタルとは毛色の異なるデザインをしている。その姿から、かつてはベニボタルの仲間として扱われていた種だ(「ホタル科」とは別の「ベニボタル科」と言う別グループがある)。水性とも陸生とも違う「半水性」のホタルで、幼虫時代は捕食時だけ水中に入るという生態を持つ。

スジグロボタル

■初夏はホタルが楽しめる季節

 以前と比べて、ホタルの多くは出会いにくくなってしまっている。

 たとえば、光るホタルは発光によりパートナーを探すため、暗い空間を好む。ところが街灯が増えて明るい場所が多くなってしまい、特に都市部では繁殖活動ができる場所が減っているのだ。光らないホタルも、例えばスジグロボタルはぬかるみや湧水で湿っている場所を生息環境として好むが、そのような場所は舗装・整備対象となって消失しやすい。現代においてはホタルが安定的に見られる環境というのは、貴重な場所と言えるだろう。

 初夏、ホタルたちは僕たちに癒しを与えてくれる。今後もその癒しを享受できるよう、みんなで優しく見守っていきたいものだ。