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■大島温泉ホテルでの束の間の癒しタイム。そして三原山登山スタート!

 大島の港に到着後、バスに乗って20分ほどで大島温泉ホテルへ到着。30分後の朝7時から朝食バイキングが始まるらしいのだが、酒と寝不足でフラフラの我々はまずお風呂を選択。内風呂の外には露天風呂もあり、早朝の日光に照らされ輝く三原山の稜線が目に眩しい。疲れて寝不足、風呂上りも重なりユルユルに弛緩している登山部の面々。みな無言で朝食をパクついていた。

好印象だった大島温泉ホテル。また訪れたいものだ

 朝食後、ホテル出発までに少し時間ができたのでそれぞれ思い思いの場所で休むことに。「船内では他人のイビキのせいで寝られなかった」とのたまう “自称被害者” の山三郎などは、持参したキャンプ用の簡易シートを敷いて豪快に寝始める。お祝いとだいとうは、風呂場の入り口近辺の休憩スペースを予め見つけており、目当てのソファへ向かう。ひんやりと凉しい場所に寝転がって気持ちよく寛げたのだった。レトロで侘びた雰囲気を漂わせる大島温泉ホテル、建物も働く皆さんも味のある素敵なホテルであった。

●いざ三原山へ。そこは荒涼とした火星のような……

 まずは左右を木々に囲まれた、心地よい木陰ゾーン「こもれびトンネル」を歩く。地面は砂利や土で歩きやすい。しかし、YAMAPなどのアプリを使ってコース設定したものの、似たような景色が続くだけに「いまコースから外れてないか?」というシーンが多発。家族と共に訪れた経験のあるだいとうが「霧が立ち込める中で遭難しかけた。まだ小さかった息子が不安な顔をしていたな~」と思い出を語ってくれたが、スマホに記録されていた動画を見ると納得の濃霧迷宮ぶり。

 今日は晴天で遠くまで見渡せ、迷うことはなさそうだが、ほぼ平地であってもガスるだけで迷うことがあり得るのだという事実は、一行の気を引き締めた。

直射日光が差さず気持ちよく歩ける「こもれびトンネル」

●砂漠、溶岩、噴火口! 見どころ満載のハイキング

 「裏砂漠」と呼ばれ、国土地理院が発行する地図に日本で唯一「砂漠」と表記されている場所を歩き続ける。時折現れる溶岩が冷え固まってできたゴツゴツした岩場の風景は「数十年前に噴火し、いま現在も警戒されている山」であることを思い出させる。登りやすく可愛らしい低山のイメージも、猛々しい活火山のイメージも、どちらの三原山も真実の姿なのだ。

ところどころ蒸気がたちのぼるのは活火山の証か

 途中、印象的だったのが溶岩の舞台から望む赤い谷。通称「赤ダレ」は、その名の通り鮮やかな赤い谷底が特徴である。8世紀頃にカルデラの縁で噴火が起こり、スコリア(火山噴火の噴出物で穴がたくさん開いた黒っぽい石)が高温を保ったまま空気に触れたことで鉄分が酸化し、現代まで残る赤さび色になったのだとか。この崖は下部がえぐれて上部が張り出している形状で、のぞき込まないと迫力ある赤い山肌が見られないため、皆すり足で恐る恐る崖の端へと進む。さすがの絶景に、「おお~」「すげ~」と感嘆の声が方々から上がるのだが、言葉を生業にしている出版社の人間にしては、なんとも寂しい語彙力だ。普段の流麗にして格調高い言葉遣いを忘れさせるほどの絶景であったからだろう…… そうに違いない。

ルート上には標識が点在していて心強い

 その後、小さな水溜まりのようにも見える可愛らしいサイズの池を通り過ぎ、いよいよ三原山を登ることになるのだが、この20分ほどが最もキツかった。かなり急な斜面で、足元は一歩ごとに滑る柔らかい砂地だったりゴツゴツした石が転がったりして歩きにくい。これまでのような速度で登ることはとても叶わず、少しずつ着実に歩みを進めていった。登り切った先には展望台があり、そこでの眺めは見渡す限り絶景で、この山行におけるハイライトのひとつとなった。

山並みの眺め。反対側には壮大な海が広がる