■季節によって姿を変える虫たち

 サカハチチョウ以外にも、季節によって姿を変える虫たちがいる。ここではもう2種、紹介しよう。

 チョウ目タテハチョウ科の「キタテハ」は夏型と秋型で姿が大きく変わるチョウだ。なお、キタテハは成虫で越冬をするため1年中見られる機会があるが、冬〜早春に見られる個体は秋に羽化したものであるため「春型」ではなく「秋型」だ(新しい年の新成虫は5月頃から発生し、「夏型」となる)。

 夏型のキタテハは黄色みが強く、黒い斑紋が多めだ。一方、秋型では赤みが強くなり、はねのとがりが強くなる。

キタテハの夏型
キタテハの秋型

 キタテハは身近な場所によくある「カナムグラ」という植物の葉を食べるので見られる機会も多い。夏と秋で姿の違いをチェックしてみよう。

 次はチョウ以外の虫を紹介したい。じつは季節型があるのはチョウの仲間だけではない。

 オスの腹端にハサミを持ち、サソリのように腹部を反らして持ち上げる「シリアゲムシ」という虫たちがいる。このシリアゲムシの仲間に「ヤマトシリアゲ」というものがいるが、こちらも春と夏で姿が大きく変わる昆虫だ。

 ヤマトシリアゲの春型では全身黒い姿をしているが、夏型になると体が赤くなり、大きく雰囲気が変わるのだ。

ヤマトシリアゲの春型
ヤマトシリアゲの夏型

 昆虫はもともと多様な姿を持っているが、季節型の存在によって、その多様さはさらに広がる。だからこそ、観察対象として非常に奥深く、ついついあらゆる季節で虫探しをしてしまうのである。

■季節型を観察しよう 

 今回は季節による姿の差が分かりやすい虫を紹介したが、じつは他にも季節型を持つものはいる。例えば「アゲハチョウ」の仲間も、季節によって異なる姿を持つものが多いグループだ。もっとも身近なアゲハチョウ(ナミアゲハ)であれば、夏型では黒みが強くなり、サイズが春型よりも大きくなる。

 普段見ている虫の中に、じつは季節によって姿が違うものがいるかもしれない。ぜひ、季節を変えていろいろな虫を観察してみてほしい。