■たった2種類の材料で作る三角かんじき

材料は2種類。フレームを組む木材(薪)とロープのみ

 それでは実際に製作を始めよう。必要な材料は木材とロープの2種類のみ。万が一の非常事態で必要となれば、木の枝を現地調達し、つる性植物や靴ひも、それもなければレジ袋、タオル、ハンカチ、使わない衣服などを細長く裂いてロープ代わりにすることもできるだろう。

 今回は焚火用の薪とキャンプ用ロープ(ナイロン製のパラシュートコード)が余っていたのでこれらを使用した。

 ちなみに筆者の靴のサイズは27cmで、これにちょうど合う木材は45cm×2本、30cm×1本、太さは2cmほど。これで片足分だ。

■三角かんじきを作る

40分ほどで完成した「三角かんじき」

 作り方は単純で、木材同士をロープで縛るだけだ。簡単にほどけない縛り方であればなんでも構わないが、非常時に限られた材料で作成するにはロープを節約し、無駄が出ない縛り方にする必要がある。

 筆者は新聞紙や雑誌を束ねて資源ごみに出す際に多用しているのだが、「かます結び」が簡単でおすすめだ。対象物にロープを2回巻き、長い方を折り曲げてループ状にして、ロープの先端をループ全体をまとめるようにくぐらせる。この先端をループに差し込み、ループを締めると完成だ。この後余った長い方を切断して、次の部分をかます結びにすることを繰り返す。

 三角形のフレームを組んだら、長辺の間にロープを渡して足を置ける足場を作る。三角形の中央付近を横断するように、ロープをぐるぐる巻きにする。ここもロープを節約するためそれぞれ4巻きほど。

 アルファベットのAの底を閉じ、上下をひっくり返した形状を思い浮かべていただきたい。使用者側から見ると逆三角形となり、Aの横棒が足場となる。

 初めて製作したということもあり、2つ完成させるのに40分ほどかかった。慣れればもっと短時間でできるだろう。

 また、使用した薪の表面がツルツルしていたため、せっかく結んだ箇所が他の部分を結束中に頻繁に滑ってズレるのには手を焼いた。ナイフや鉈で切り込みや適当な凹凸を刻むとしっかり固定できるだろう。また、樹皮がついたままの枝であれば滑りにくく、このような心配はないはずだ。

完成したかんじきを靴に装着

 完成した三角かんじきを靴に装着してみた。まずは立山かんじきの履き方を参考にした。中央のロープをぐるぐる巻きにした足場に、別のロープで靴を括りつけるやり方だ。

■いよいよ雪上を歩く

自作の三角かんじきで雪上を歩く

 いよいよ自作の三角かんじきで雪上を歩いてみた。なるほど、普通の靴と比べて、足がほぼ沈まない。
スノーシューを装着したスノートレッキングの魅力は“浮遊感”だというが、そこまでではないにせよ、雪の上を自由自在に歩けるのはおもしろい。材料が最小限のためか、軽量なのもなかなかよい。

歩いた後を振り返ると、三角形の奇妙な足跡が雪上に続いている

 後ろを振り向くと、今しがた自分が歩いたあとに三角形の怪しい足跡が並ぶ。

ロープがズレたり伸びたりで靴がかんじきから浮いてしまい、歩きにくくなる

 ここまではよかったが、ロープの縛り方が甘いと途中でズレたり外れたりして、そのたびに修繕が必要だった。

 最初は立山かんじき方式で靴に固定していたが、時間が経つとかんじきから靴が浮いてしまい、歩きにくい。前方の木材につま先までロープで固定できるように縛り方を変更する必要があったが、実は手持ちのロープの長さがギリギリで、短いロープを継ぎ足すなど、なかなか苦労した。

靴のつま先まで固定できるようにロープの通し方を変更。ロープが不足しがちで苦労した

 その後20分ほど雪上をウロウロ歩き回ってから帰宅した。 耐久性にやや問題があり、本格的なトレッキングにはあまり向かないと感じた。

■実際やってみてわかったこと

 三角かんじきは平地や緩やかな斜面であれば問題なく歩行できたが、伝統的な輪かんじきのようなスパイク(爪)がないため、急斜面の登攀には向いていない。

 ロープとして使用したナイロン製のパラシュートコードは水に濡れると結び目が固く締まるが、コード自体多少伸びる特性があるため、歩き続けると緩んでくる。また積雪がもっと深い場合は、フレームを大きくするなど臨機応変の対応が必要だ。

■結論:覚えておいて損はないかも?

 急な降雪で、靴のまま歩くのが困難になるような非常事態など、そう起きることではないかもしれない。しかし、身近な材料でかんじきを製作できるという知識は、万が一の際の生存率を高めることになり得る。

 ちょっとしたサバイバル術を実践して自然を直に味わうことは、野営や焚き火などに似た原始的な体験に近いとも感じた。

 かんじきの自作もスノートレッキングも今回初めてだったが「雪に足を取られる不自由さからの解放感」がおもしろく、意外と楽しめたことを報告しておきたい。天候や足元の雪の状態、すぐに戻れる範囲で行うなど安全には十分注意したうえで、アウトドア遊びのひとつとして試してみるのもいいかもしれない。