■小ブナの“巣離れ”が告げる春 水の濁りの正体

釣り開始からおよそ2時間後、それまで気配のなかった小ブナが突然釣れ始めた

 水中ウォッチングの後、釣りを再開すると、突然体長5cmほどの小ブナ(ギンブナ、キンブナの子ども)が掛かった。昔からフナの魚影が濃いとされる牛久水郷のホソである以上、フナが釣れても不思議はない。

 しかし直前まで見ていた水中の映像には映っていなかったため、どこから現れたのかと少し驚かされた。その後も3cmから15cmほどの小~中ブナが立て続けにヒットし、釣り場の雰囲気が一変する。同時に、ついさっきまで見通せていた川底が次第にぼやけ始めた。

 最初は光の加減か、目のかすみかと思ったが、原因は小ブナたちのようだ。彼らが川底の泥を巻き上げながらエサを探していたのである。舞い上がった泥はゆっくりと水中に広がり、クリアな世界をしだいに曇らせていった。

水路内の水が急に濁り始めたため、カメラで水中の様子を確認した(魚影はタナゴ)
濁りの中心にタナゴより大きな魚影が確認できる。彼らが水底の泥を巻き上げていたのだ
水の濁りの原因はフナたちだった。おそらく釣りエサの匂いに誘われ、土管奥の巣穴から姿を現したのだろう

 探っていたポイントのすぐ横には農道の下を通るコンクリートの土管が埋設されている。おそらくフナたちは、その土管の暗がりを越冬場所として利用していたのだろう。エサが少ない寒の時期、フナは体力を温存するため動きを抑えて水底で過ごす。その後、水温が上がり始めると「巣離れ」し、エサを求めて活発に動き回るようになるという。

 この時は筆者が何度も打ち返す釣りエサの匂いにつられて、思わず土管の中から飛び出してきたといったところだろう。

 濁り始めた水中を見つめながら、冬の静けさが終わり、水の中で春の動きが始まったのだと実感した。泥が舞い上がるその変化は、牛久水郷に訪れた季節の転換を示す、合図といっていいだろう。

 水が濁り始めるころ、ホソは小物釣りの好機を迎える。タナゴやフナをはじめ、さまざまな魚たちが動き出し、水の中はいっそうにぎやかになっていく。春の気配が満ちる水辺で、竿を出してみてはいかがだろうか。

この日の釣果の一部(タナゴ、フナ、クチボソ、タモロコ)
本命タナゴの釣果は約4時間で15匹
フナの釣果は18匹。サイズは体長3〜15cmの小〜中型

※ 管轄漁協:牛久沼漁業協同組合

注意事項
 釣り場近くに車を停める際には農作業の邪魔にならないようくれぐれも注意しよう。もちろん釣り場でのゴミのポイ捨てなども厳禁である。

●【MAP】牛久沼周辺